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後発医薬品の薬価

新たに薬価収載される後発医薬品の薬価

初めて薬価収載される後発医薬品の薬価は、先発医薬品の薬価に0.5を掛けた額となります。ただし、内用薬で同時に薬価収載される後発品が10銘柄を超える場合は、先発品の薬価に0.4を掛けた額を後発品の薬価となります。

 

新たに収載される後発医薬品の薬価の図表。原則と内用薬で銘柄数が10を超える場合の比較。

 

10銘柄を超えた場合に限って薬価を低くするルールが設けられているのは、1つの先発品に対して多くの後発品が販売されるのを避けるためです。市場規模の大きい先発品の場合、後発品が20銘柄も30銘柄も発売されることは珍しくありません。

 

例えば、2011年11月に後発品が薬価収載された認知症治療薬「アリセプト」(一般名・ドネペジル)には30銘柄101品目が発売。銘柄の多さは医師や薬剤師の手間につながり、後発品の普及を妨げかねないとの指摘があり、銘柄数が多くなりすぎないよう、12年度の薬価制度改革で価格を抑えるルールが導入されました。

 

初めて収載される後発品の薬価は、かつては「先発品の0.9倍」という時期もありましたが、医療費削減の圧力が高まっていることもあり、近年は引き下げが続いています。日本には後発品メーカーが多く、激しい価格競争で市場実勢価格が下落していることも、収載時の薬価が引き下げられる要因となっています。

 

後発品収載時の薬価の変遷図。

 

すでに後発品が薬価収載されている場合は、最も価格の低い後発品と同じ薬価となります。

 

バイオシミラーの薬価

初めて収載されるバイオシミラーの薬価は、バイオ先行品の薬価に0.7を掛けた額となります。

 

通常の後発品に比べて高く設定されているのは、化学合成で作られる薬に比べて研究開発や製造に費用が多くかかるから。さらに、臨床試験の充実度合いによって10%を上限に加算がつく場合があります。

 

後発医薬品の薬価改定

後発医薬品も、ほかの医療用医薬品と同様に、2年に1度、市場実勢価格に基づく薬価の改定が行われます。

 

後発医薬品の価格帯とは

銘柄別市場実勢価格主義を大原則とする日本の薬価制度では、銘柄ごとに市場実勢価格を調べ、それに合わせて新たな薬価を決めるのが基本。しかし、1つの成分に対して複数の銘柄が販売される後発品では、価格の近い銘柄をまとめて1つの薬価とする「価格帯」という仕組みが設けられています。薬価をわかりやすく整理し、医療機関や薬局の手間を軽減することで、後発品の使用促進を図るのが目的です。

 

後発品の価格帯は先発品の薬価を基準に設定されています。現在は、

(1)市場実勢価格に基づく算定額が先発品の薬価の30%未満のもの

(2)市場実勢価格に基づく算定額が先発品の薬価の30%以上50%未満のもの

(3)市場実勢価格に基づく算定額が先発品の50%以上のもの

の3つの価格帯が設けられており、それぞれの価格帯ごとに加重平均をとって1つの薬価に集約します。

 

後発品の価格帯の図。市場実勢価格に基づく算定額と改定後の新薬価の比較。

 

後発品をめぐっては、同じ有効成分なのに銘柄によって価格が違うことが医療従事者からするとわかりにくく、それが後発品への不信感となって普及を妨げているとの指摘がなされてきました。これを受けて14年度の薬価制度改革では、それまで3%刻みで設定されていた価格帯を、上で説明した3つの価格帯に集約する見直しが行われました。

 

収載から12年後には1価格帯に

18年度の薬価制度改革では、後発品の発売から10年以上たった長期収載品の薬価を、その後6~10年かけて後発品と同じか近い水準まで段階的に引き下げるルール(いわゆる「G1」「G2」)が導入されました。後発品の価格帯もこれにあわせ、収載から12年たったものは原則として1つの価格帯とすることになりました。

 

ただし、これには例外があり、G1の対象となった長期収載品が市場から撤退(=販売を中止)する場合は、撤退する長期収載品の供給分を増産対応する後発品と、それ以外の後発品の2つの価格帯とします。増産のために設備投資などを行った企業とそうでない企業の後発品が、同じ価格に集約されるのは不公平との判断からです。

 

いわゆる「G1」「G2」

後発品の発売から10年たった長期収載品の薬価を段階的に後発品と同じかそれに近い水準まで引き下げる仕組み。

 

G1は後発品への置き換え率が80%以上の長期収載品が対象で、6年かけて後発品と同じ薬価まで引き下げ。置き換え率が80%未満の長期収載品が対象となるG2は、10年かけて後発品の薬価の1.5倍まで引き下げます。後発品と同薬価となるG1の対象品目は、後発品企業の増産を条件に市場から撤退することも認められます。

 

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