ここでは、製薬業界の転職を対象とした履歴書の書き方をご紹介します。
いきなり書き始めず、あらかじめ自分自身のスキルや内面を掘り下げるとともに、企業側の特徴や求める人物像をチェックし、何をどうアピールするかをある程度まとめておきましょう。
※ 履歴書の用紙はコンビニや文房具店で市販のものを購入するか、ネットでダウンロードし印刷することで入手ができます。履歴書の右側の項目(趣味・特技・スポーツ・特記事項など)の組み合わせには様々なバリエーションがありますから、自分が最も書きやすい・アピールしやすいと思うものを選ぶと良いでしょう。ここでは、オーソドックスなフォーマットを元に、書き方を解説していきます。
【履歴書を書く上で注意したい4つのルール】
- パソコンではなく、黒いボールペンまたはサインペンで手書きすること
- 字は一字一字、丁寧に書くこと(雑でなければ字の上手・下手は関係ありません)
- 誤字脱字は必ずチェックし、書き損じたら新しい用紙に書き直すこと(修正液不可)
- 空欄を作らないよう必ず全ての項目を埋めること
それでは、各欄について具体的に解説していきます。
書いた日ではなく提出する日(郵送の場合は投函日)を書きます。元号(平成○年)か西暦かは特に決められていませんが、履歴書の中で記述する日付けは、必ずどちらかに統一するのがマナーです。
名前は大きく丁寧に。フリガナも忘れずに。履歴書に「フリガナ」とある場合はカタカナで、「ふりがな」と書かれている場合はひらがなで書くのがルールです。
先述の通り、日付を元号で書いた場合は、こちらにも「昭和○年」と元号で記述。西暦で書いた場合はこちらも西暦です。
3ヶ月以内に撮影した肩から上の正面写真。サイズは2.4×3cmか3×4cmが一般的です。スーツを着用の上、礼儀正しさや清潔感が伝わることを意識して、ほんの少し微笑むくらいの明るい表情で撮影しましょう。また、暗くなりがちなスピード写真より、少々高額ですが、写真館でプロに撮影してもらう方が、良い表情を引き出してもらえるはずです。なお、顔に掛かった前髪や、派手なメイクは悪印象のもと。撮影前に必ず鏡を見てチェックを。
※履歴書の写真の詳細(画像つき)はこちら(転職Hacks)
都道府県名から省略せずに書きます。アパートやマンションにお住まいの場合は、建物の名称と号室も忘れずに記入しましょう。
連絡先は自宅の一般固定電話を明記するのが一般的でしたが、最近では日中の連絡の取りやすさから、IP電話や携帯電話を書く人が増えています。もし、ここに固定電話を書く場合は、「その他の連絡先」欄に携帯電話番号も記載し、「恐れ入りますが、平日の昼間は携帯電話にお願いします」などという一言を忘れずに必ず添えておきましょう。企業はここに書かれている番号を元に、選考や入社手続きに関する連絡をします。重要な部分ですので、間違えることのないよう注意しましょう。
Email欄は、PCの固定アドレスを記入しましょう。希に、携帯のメールやフリーメールアドレスは企業によって“オフィシャルなメールではない”という印象を抱かれることがあるようです。固定アドレスを持っていない、フリーメールの方が連絡がつきやすい、といった場合以外は、できるだけ固定アドレスを書くようにしましょう。また、手書きのため読みやすくわかりやすいよう配慮を。特に「a」と「u」、「n」と「h」、「_」と「-」、「o(オー)」と 「0(ゼロ)」などは区別が付きにくくなることがあるため、注意が必要です。
前述の通り、年号は日付と合わせ、あなたの経歴を「学歴」と「職歴」に分けて書き記していきます。
「学歴」は社歴の少ない場合、中学校・高校を卒業年だけ書き、最終学歴のみ入学年と卒業年を書くのが一般的。社歴が多く、入りきらない人は最終学歴のみを書くかたちでも構いません。
「職歴」は入社・退社に加え、あなたがどんなポジションで何をしてきたかを簡単に2~3行で。読んだ人がイメージしやすいようにします。なお、「職歴」は原則、在籍した全ての会社を書き出すのが鉄則です。「在籍期間が短いから」「書きたくないから」と省略してしまうと、経歴詐称に問われる恐れがあります。但し、アルバイトは書かなくても構いません。ですがこの場合も、今回の転職に繋がる経験を積んだなど、アピールになりそうであれば積極的に記入していきましょう。
また、学校名では「高等学校」を「高校」と略したり、会社名でも「株式会社」を「(株)」とはせず、正式名称で書くよう注意しましょう。
あなたの持っている資格・免許を、取得時期の古いものから順番に書きます。アピールになりそうな資格を中心に列記し、あまりにも仕事との関係性が薄いものは軸がブレるため書かない方が良いでしょう。同様に、一般的な資格に関してはある程度以上のものを書くようにします(日商簿記は3級以上、英検は2級以上が目安)。なお、資格名は略さず正式名称で(例:自動車免許→普通自動車第一種免許)。
※自動車免許の種類・正式名称はこちら(転職Hacks)
「趣味は●●です。」と一言で終わらせるのではなく、その後に続けて具体的な説明があるとベターです。例えばスポーツを趣味として挙げる場合、練習頻度やポジション名などを。趣味が読書なら、好きな作家やジャンル、読書量などを記しましょう。趣味欄は履歴書の中で最もあなたの「人間性」が伝わる部分です。この内容を元に、面接で話題が盛り上がったり、社風との相性を見られたりしますから、できるだけ詳しく書くよう心がけましょう。
現在の健康状態を明記しますが、業務に支障がない範囲であれば「良好」で構いません。特に何の問題もないようであれば、アピールを込めて「きわめて良好」と記すのが良いでしょう。
※持病など書き方に悩む場合はこちら(転職Hacks)
志望動機は履歴書の要。企業側としては、一緒に仕事をする相手として、「何ができるか」だけでなく、「なぜ当社で働きたいと思っているのか」「どのくらいそう思っているか」、応募した理由を知りたいものです。「将来性に魅力を感じた」など通り一遍の内容でなく、企業への思い入れや入社後に目指す方向性など、あなたの“想い”をしっかりと言葉にしていきましょう。
なお、退職理由に触れる場合は、「人間関係に悩んだ」「仕事内容が合わなかった」といった後ろ向きな内容でなく、「より専門的な業務に挑戦するため」など前向きな書き方をするよう心がけましょう。間違っても職場の愚痴にならないよう注意が必要です。
履歴書の志望動機を構成する主な材料は、
- これまでの職場で学んだこと、自分の強み
- 今後の方向性と、応募しようと思った理由(その企業でしかできないこと)
- 応募する企業に感じる魅力(社風や福利厚生よりも事業内容や業務内容など)
- 新しい環境で実現したいこと(自分の持ち味をこう活かす、という具体的な記述)
- 結び(将来のキャリアヴィジョンや今後の目標、どうしても伝えたい一言など)
自分の想いやスキル・経験を、応募する企業の特色とうまく結びつけることを意識して書きましょう。
希望勤務地も希望給与額も、どうしてもゆずれない条件がある場合以外は、「貴社規定に準じます」がベターです。
出社可能日や連絡のつきやすい時間帯、または勤務地や給与等、希望する事項を記します。
特に希望がない場合は「特になし」とする手もありますが、それよりも応募職種名が何であるかを書いておくと親切です。希望欄と言っても、あまり欲張った希望を書くことは禁物。どうしてもゆずれない内容や、事前に話して置いた方がよい内容のみ記載するよう心がけましょう。
自宅最寄り駅から勤務地までの所要時間を書きます。あくまで目安として最短時間を記入しますので、乗り換えや徒歩の時間などは省いても構いません。また、現時点で勤務地がどこになるか未定の場合は、無理に記入しようとせず、一度コンサルタントに確認すると良いでしょう。
配偶者が居る場合は「有」に○を。また、その配偶者の年収が130万円を越える場合は、配偶者の扶養義務「無」、下回る場合は配偶者の扶養義務「有」に○を付けましょう。なお、扶養家族欄には、配偶者以外の扶養家族数を記します。単位が「人」なので、居ない場合は「無し」ではなく「0」と書きましょう。
履歴書のフォーマットによっては、今回の見本履歴書にあったもの以外の項目が用意されている場合があります。
自分自身の長所・短所を書きます。まずは志望する企業の求人情報をよく見て、「どんな人が求められているか」「どんな人が求められていないか」を意識して書くようにしましょう。採用担当者は長所と短所が仕事の上でどう現れるのかを読み取ります。「長所は××です」で終わらず、それを立証するような具体例を書き加えたり、短所を書く際も「短所は○○です」とマイナスの印象で終わらせないように工夫を。
「短所は○○ですが、現在は××することによって克服できるよう努力しています」「短所は○○ですが、逆に仕事の上ではこれが××に役立っています」とプラス方向に転換するよう心がけましょう。
仕事、または仕事以外であなたが得意とすることを記します。趣味欄との違いは、「趣味=好きなもの」であるのに対し、「特技=(好きで取り組んでいて)何かしらの結果を出している」もの。どんな実績を出したか、どれくらいの年数取り組んできたか、習熟度はどれくらいかなどを明記するよう心がけましょう。
他の欄ではアピールできなかった内容や、書けなかった希望などを記します。ぱっと思い当たらない場合には、仕事上の目標や希望などを書く欄と考えましょう。但し、希望を書く場合も、「わがままな人」と思われないよう伝え方に注意。「ゆくゆくは○○に挑戦していきたいです」といった書き方で、前向きさをアピールする配慮を。なお、給与や待遇などに関する希望は選考にシビアな影響を与えます。履歴書に書くより、交渉の余地がある面接で伝えるように心がけましょう。
履歴書の欄は、「ただ書かなければならない」というのではなく、違った角度からあなたをアピールするためのものとして捉えましょう。また、口頭で補足説明が必要な情報や、自分が不利になる情報は、履歴書よりも面接で伝える方が、誤解を招かず良いでしょう。