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後発医薬品 中間目標「70%」達成は厳しい?政府目標に対して使用はどこまで進んだのか

医療費抑制のために政府が強力に後押しする後発医薬品の普及。その中間目標である「使用割合70%以上」の達成期限が、今年半ばに迫っています。政府は「18~20年度のなるべく早い時期に80%以上」を最終的な目標に掲げており、中間目標の達成状況も踏まえて「80%」の具体的な達成期限を決める方針です。

 

実際の使用割合は、政府目標の何合目まで進んでいるのでしょうか。足元の状況をまとめました。

 

このままのペースでは中間目標に届かない

厚生労働省が毎月まとめている「調剤医療費の動向」によると、最新版となる2016年9月の後発医薬品の使用割合(数量ベース)は66.5%でした。「17年半ばまでに70%以上」とする中間目標まで3.5ポイント、「18~20年度のなるべく早い時期に80%以上」とする最終目標までは、あと13.5ポイントの差があります。

 

このデータは、その名が示す通り、薬局での調剤分のみを対象としたもの。入院や院内処方は含まれていません。後発品の使用割合は、薬局調剤分のみと比べると、入院や院内処方を含んだ全体の方が低くなる傾向にあります。

 

例えば、中小企業のサラリーマンが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の15年5月診療分のレセプトデータでは、薬局調剤分の後発品使用割合が63.0%だったの一方、入院(57.6%、DPCは72.9%)や調剤を除く外来(52.2%)を合わせた全体の使用割合は60.4%と、2.6ポイントの開きがありました。

 

また、15年9月取引分の全医薬品を対象に厚労省が行った薬価調査では、後発品の数量シェアが56.2%だったのに対し、同じ月の薬局調剤分の使用割合は59.2%。薬価調査は売買された数量、薬局調剤分は実際に使われた数量をベースにしているという違いはありますが、こちらも3ポイントの開きがありました。

 

16年9月の薬局調剤分の後発品使用割合は66.5%となっていますが、入院や院外処方を加味すれば、実際の使用割合は63~64%台と推測されます。

後発品使用割合の推移

政府は15年6月、それまで「18年3月末までに60%以上」としていた従来目標を前倒しし、「17年半ばまでに70%以上とし、18年~20年度までのなるべく早い時期に80%以上にする」という新たな後発品の使用目標を定めました。「80%以上」の具体的な達成期限は、中間目標の達成状況を踏まえて決めることになっています。

 

上のグラフに戻ると、現在の目標を設定した15年6月時点の薬局での後発品の使用割合は59.1%。そこから16年9月までの1年3カ月間で、使用割合は7.4ポイント上昇しました。平均すると、1カ月あたり0.49ポイントの上昇となります。

 

仮にこのペースのまま上昇を続ければ、17年6月には薬局での後発品の使用割合は70.9%となり、中間目標はぎりぎりクリアできる計算です。

 

ところが、使用割合の上昇ペースは16年5月以降、目に見えて鈍化しています。診療報酬・調剤報酬改定で使用促進策が行われた16年4月は前月から一気に1.7ポイント上昇しましたが、そこから16年9月までの上昇幅はわずか1.7ポイント。1カ月あたりでは平均0.34ポイントです。このペースでは、17年6月の使用割合は69.6%にとどまります。中間目標には届きません。

中間目標(17年半ばに70%以上)の達成は厳しい状況

もっとも、薬局よりも後発品の使用割合が低い入院や院内処方を含めると、たとえ毎月0.5ポイント程度の上昇を続けたとしても70%には及びません。中間目標の達成は厳しいと言わざるを得ません。

 

「80%」達成期限はいつ?焦点は18年度改定…影響は薬価にも

政府は「17年半ばに70%以上」という中間目標の達成状況を評価した上で、「18~20年度のなるべく早い時期に80%以上」とする最終目標の具体的な達成期限を決めることにしています。

 

仮に15年6月~16年9月までの比較的高い上昇ペース(月0.49ポイント)が続いたとしても、使用割合が80%に達するまでには薬局調剤分だけでも20カ月以上の時間がかかる計算です。入院や院外処方も加味すれば20年度末にぎりぎり達成できるかどうかペースで、医療費の抑制を求める立場から達成時期の前倒し圧力がかかることは想像に難くありません。

 

そこで焦点となるのが、目標達成に向けた追加的な使用促進策です。中間目標の評価で進捗が遅れていると政府が判断すれば、18年度の診療報酬・調剤報酬改定でさらなる使用促進策を検討することになります。

 

ただ、診療報酬・調剤報酬上の使用促進策はすでにやり尽くされた感があるのも現状です。厚労省はこれまで、

▽後発品の使用割合が高い薬局向けの加算(後発品調剤体制加算)
▽一般名で処方を行う医療機関に対する加算(一般名処方加算)
▽入院患者に対する後発品の使用を評価する加算(後発品使用体制加算)
▽院内処方での後発品の使用を評価する加算(外来後発品使用体制加算)

といったインセンティブを設けるなどして、後発品の使用を促してきました。

 

これらの使用促進策はそれぞれ一定の効果を発揮してきた一方、後発品の使用に積極的なところとそうでないところで二極化も進んでおり、インセンティブ頼みの使用促進には限界も見えてきています。既存の加算の点数を引き上げるにしても、財源との兼ね合いのほか、薬局中心にインセンティブが配分されてきたことに対する医療機関側の反発もあり、簡単ではありません。

 

影響は薬価にも波及します。医師や薬剤師からは、後発品の品目数の多さや価格帯の多さが後発品の使用を妨げているとの指摘もあり、現行は先発品の5割(内服薬で10品目超が参入する場合は4割)とされている薬価のさらなる引き下げや、価格帯の統一が次の薬価制度改革に向けて議論されることになりそうです。

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