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ニュース解説

主要製薬企業 17年3月期は2%減収で着地へ―小野薬品が過去最高業績も…国内市場 停滞感くっきり

国内の主な製薬企業の2017年3月期第3四半期決算が出そろい、各社の業績予想から今期の着地が見えてきました。

 

AnswersNewsの集計によると、国内主要製薬企業12社の17年3月期の売上高は前期比1.9%減となる見通しです。昨年4月の薬価改定や後発医薬品の浸透により国内市場が停滞した上、昨年秋までの円高の影響も尾を引きます。

 

免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が伸びた小野薬品工業や、抗HIV薬のロイヤリティー収入が拡大する塩野義製薬が過去最高の業績となる見通しですが、国内事業は半数以上の企業で減収。17年3月期は国内市場の停滞を改めて印象付ける決算となりそうです。

 

海外事業は堅調も円高の影響大きく

AnswersNewsでは、年間連結売上高が1000億円以上の国内製薬企業12社について、2017年3月期通期業績予想を集計しました。

 

それによると、12社の売上高の合計は前期から1.9%減少する見通しで、武田薬品工業(前期比5.9%減)やアステラス製薬(5.3%減)、第一三共(3.7%減)など半数超となる7社が減収を予想。12月決算の企業でも、中外製薬(1.4%減)や協和発酵キリン(5.8%減)が減収で16年12月期を終えています。

主な国内製薬企業の2017年3月期業績見通し

売り上げ減少の要因は主に2つ。1つは昨年秋ごろまでの円高の影響。もう1つは、昨年4月の薬価改定や後発医薬品の浸透による国内市場の低迷です。

 

円高による売上高の減少影響は、いずれも第3四半期時点で、武田薬品が1146億円、アステラスが896億円、第一三共が408億円に上りました。

 

ただ、武田とアステラスは現地通貨ベースでの海外売上高は拡大しています。武田薬品は潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が1000億円を突破し、多発性骨髄腫治療薬「ニンラーロ」や大うつ病治療薬「トリンテリックス」も堅調に推移。アステラスは前立腺がん治療薬「エクスタンディ」(日本製品名「イクスタンジ」)や過活動膀胱治療薬「ミラベトリック/ベットミガ」(同「ベタニス」)が好調です。

 

大日本住友製薬も円高で231億円の減収影響を受けましたが、ブロックバスターの抗精神病薬「ラツーダ」の拡大で増収を確保。抗HIV薬のロイヤリティー収入が伸びる塩野義製薬は過去最高の業績を更新します。

 

一方、第一三共は主力の高血圧症治療薬「オルメサルタン」の特許切れが響き、現地通貨ベースでも米国売上高が減少。新薬が伸びる国内は好調ですが、前期に生産子会社の売却益を計上した反動もあり、通期では15.7%の営業減益に沈みます。

 

昨年11月の米大統領選以降、為替は円安に振れており、第3四半期決算発表では最近の円安傾向を反映して通期業績予想の上方修正した企業も目立ちました。各社の海外事業はおおむね堅調に推移しており、今後の為替動向次第では通期業績の上振れもあり得ます。

 

国内も半数超が売り上げ減

一方、国内事業の好調ぶりが目立つのは、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が牽引する小野薬品工業です。

 

2月の薬価引き下げや競合品となる「キイトルーダ」の発売により予想を下方修正したものの、「オプジーボ」の国内売上高は今期1050億円まで拡大。国内売上高は第3四半期時点で前期比60.4%の増収となりました。通期の連結業績は売上高49.7%増、営業利益124.5%増と大幅な増収増益で過去最高の業績となります。

 

プロトンポンプ阻害薬「ネキシウム」や抗凝固薬「リクシアナ」など新薬が伸びる第一三共も国内事業は好調。通期の国内医療用医薬品の売上高予想を従来から50億円上積みし、5050億円に上方修正しました。前期比では2.1%の増収。エーザイは、味の素との合弁会社EAファーマの設立で旧味の素製薬の製品が売り上げに加わったことで、大幅な増収となります。

 

国内医療用 首位交代か

反面、「イクスタンジ」が4月の薬価改定で市場拡大再算定を受けたアステラスは6.7%の減収を予想。鎮痛薬「セレコックス」や糖尿病治療薬「スーグラ」も期初の想定ほど伸びず、第2四半期の時点で国内医療用医薬品の売上高予想を下方修正しました。

 

大日本住友や塩野義、大正製薬HDも、長期収載品の減少で国内売上高を減らします。キョーリン製薬HDは、主力の気管支喘息治療薬「キプレス」の特許切れが響きます。

 

武田薬品は通期の国内医療用医薬品の売上高予想を開示していませんが、長期収載品をイスラエル・テバとの合弁事業に移した影響で減収となる見通しです。第3四半期時点では前期比7.0%減となっており、このままのペースでいけば通期の着地は5030~5040億円。守り続けてきた国内医療用医薬品売上高トップの座を第一三共に奪われることになるかもしれません。

 

今回集計対象とした12社のうち、国内医療用医薬品の通期売上高予想を開示しているのは、武田薬品と小野薬品、科研製薬を除く9社。そのうち半数を超える5社が減収を予想しています。武田薬品と科研製薬は減収が確実で、これを合わせると12社中7社が国内で減収となる見通しです。

国内医療用医薬品市場の四半期成長率の推移

IMSジャパンが2月9日に発表した国内医薬品市場統計によると、16年の国内医療用医薬品市場は10兆6246億円で、前年比0.3%増。薬価改定のあった14年、12年を下回り、過去5年間では最も低い成長率となりました。

 

2960億円を売り上げたC型肝炎治療薬「ハーボニー」の影響を除けば、実質的には市場は前年割れ。これまで高い成長を続けてきた薬局市場が前年比3.6%減と11年以降で初めてマイナスとなるなど、国内市場の停滞感は数字にもくっきりと表れています。

 

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