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調剤薬局チェーン大手、止まらぬ規模拡大 アインHDが1000店舗突破 大型買収相次ぐ

調剤薬局チェーン大手の規模拡大が止まりません。

 

今年は、大手が店舗数100前後のチェーンを買収する大型のM&Aが相次いでおり、業界最大手のアインホールディングスは年内に1000店舗を突破。クオールや総合メディカルも今年度、700店舗をうかがいます。

 

今年10月には、日本調剤が日本初の調剤薬局として知られる水野薬局を買収。業界に衝撃を与えました。薬局に求められる役割は増える一方、中小薬局では薬剤師の採用難や後継者不足が深刻化する薬局業界。吹き荒れる再編の風は、収まる気配がありません。

 

 

100店舗前後のチェーンを相次ぎ買収

再編が加速する調剤薬局業界で今年、大型のM&Aが相次ぎました。

 

業界最大手のアインホールディングスは11月25日、仙台市を拠点に全国で115店舗を展開する葵調剤を12月26日付で買収すると発表しました。買収額は約52億円。アインHDの店舗数は2017年3月期第2四半期時点で917店。葵調剤の買収により、アインHDの店舗数は1000店を突破することになります。

 

17年3月期中にM&A128店を含む146店の出店を計画するクオールは10月、約134億円を投じて新潟・山形両県で85店舗以上を展開する共栄堂(新潟市)を買収。計画通りに出店が進めば、17年3月期に店舗数は709店に達します。

 

福岡市を地盤に「そうごう薬局」など582店舗を全国展開する総合メディカルも12月26日付で、みよの台薬局グループの調剤薬局10社を約80億円で買収予定です。同グループは首都圏と三重県、大阪府で91店舗を展開しており、買収によって総合メディカルも店舗数が700店に近付きます。

 

ここ数年、年間の買収店舗数が1ケタにとどまっていた日本調剤も、16年度は上期だけで2ケタ(11店)に達しました。16年度の出店計画はM&Aを含めて約50店と、前年度の27店から倍増させる計画。1店舗あたりの売上高を重視しながら、M&Aを増やしていく方針です。

 

主な調剤薬局チェーンの店舗数の推移

 

大手調剤チェーンが展開する門前薬局の調剤報酬が引き下げられる中、とるべき戦略は店舗数の拡大しかありません。医薬分業率が70%を超え、薬局数がコンビニエンスストアよりも多い5万8000軒に達し、市場が飽和しつつある中、新規出店ではなくM&Aによる規模拡大が、各社の成長の源泉となっています。

 

採用難に後継者不足…中小取り巻く環境がM&A後押し

大手チェーンがM&Aで拡大路線を進む一方、中小薬局を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 

それを象徴するのが、日本調剤による水野の買収でしょう。水野は1964年、東京大病院前に日本初の調剤薬局「水野薬局」を開業した業界の草分け的存在。1980年代には薬剤服用歴(薬歴)のIT化を進め、業務システムを自社開発するなど、ITの活用でも業界最先端の薬局として知られていました。

 

多くの薬局・薬剤師に影響を与えた水野が、薬剤師会や業界団体と距離を置き、高額な役員報酬が批判を浴びることも少なくない日本調剤に経営を委ねたことは、業界に大きな衝撃を与えました。

 

「他業界とくらべ、薬局業界はまだまだ寡占化も進んでおらず、これからが戦国時代です。その時代を勝ち抜く後継者を育てられなかったこと、この点には自責の念にかられております」。水野の水野善郎・代表社員(当時)は、日本調剤への持分譲渡を公表したニュースリリースでこうコメント。身売りの動機に後継者不足があったことを明かしました。

 

加えて、薬剤師の採用難も中小薬局の経営を厳しくしています。

 

薬学教育6年制への移行に伴い10、11年度の2年間、新卒薬剤師が出なかった上、14、15年度の国家試験はそれまで70~80%台で推移していた合格率が60%台にとどまりました。新卒薬剤師が不足する中、大手調剤チェーンだけでなく、調剤事業の拡大を狙うドラッグストアチェーンも加わり、採用競争は激化。中には新卒としては破格の待遇を提示する企業もあり、中小薬局は人材確保が難しくなっています。

 

「かかりつけ」「健康サポート」役割増え“規模の時代”に

一方で、薬局に求められる役割は増えています。

 

厚生労働省が15年10月にまとめた「患者のための薬局ビジョン」では、かかりつけ薬剤師・薬局に求められる機能として、▽服薬情報の一元的・継続的把握▽24時間対応▽在宅医療――などと規定。16年度の調剤報酬改定では、これに沿って「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が新設されました。

 

薬局ビジョンではさらに、かかりつけ薬剤師・薬局にプラスして▽健康相談▽一般用医薬品の取り扱いや購入者に対するアドバイス――などの「健康サポート機能」も強化すべきと指摘。こうした機能を持つ薬局を「健康サポート薬局」として認定する仕組みも導入されました。

 

求められる多くの役割に応えるには、薬剤師の少ない個店や小規模薬局では限界があります。服薬情報をすべて把握し、手厚い服薬指導を行い、在宅医療に出て、健康相談も受け付け、24時間患者からの電話に対応し、土日も開局する――。こうした理想を実現しようと思えば、マンパワーや資金力のある大手が圧倒的に有利になります。水野薬局のコメントには、もはや小規模薬局では生き残りは難しいとの思いもにじみます。

 

薬局は規模の時代に。水野薬局の身売りは、業界の将来を指し示す1つの例なのかもしれません。

 

大手チェーンが規模を拡大しているとはいえ、大手数社がシェアの大半を握るコンビニ業界と比べると、調剤薬局業界に占める大手チェーンのシェアはごくわずか。薬局は規模の経済が働きやすいこともあり、調剤への攻勢を強めるドラッグストアも絡め、大手への集約化が今後さらに進んでいくことは間違いなさそうです。

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