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外資系後発品企業、長期収載品取り込み存在感―市場開拓へ突破口

市場縮小を背景に新薬メーカーが長期収載品を売却する動きが相次ぐ中、外資系の後発医薬品企業がその受け皿として存在感を強めています。

 

イスラエル・テバと武田薬品工業の合弁会社「武田テバファーマ」は10月に本格始動。武田薬品工業から移管された長期収載品とテバの後発品からなる「オフ・パテント・ドラッグ」ビジネスがスタートしました。インド勢では、ルピン傘下の共和薬品工業やサンファーマが長期収載品をラインナップに加え、市場開拓を加速させます。

 

品質や規制といった壁に直面し、一時は撤退が相次いだ外資系後発品企業ですが、長期収載品を突破口に再び日本市場への攻勢を強めています。

 

 

テバにルピン、サン…外資大手が続々

10月1日付で「テバ製薬」から「武田テバファーマ」に社名を変え、名実ともに本格的に始動したテバファーマスーティカルズ・インダストリーズ・リミテッド(イスラエル)と武田薬品工業の合弁会社。

 

4月にはARB「ブロプレス」やPPI「タケプロン」、糖尿病治療薬「ベイスン」など武田薬品の長期収載品30成分を子会社の武田テバ薬品(旧大正薬品工業)に移管し、世界最大手の後発品企業と国内最大手の新薬メーカーが組んで「オフ・パテント・ドラッグ(特許の切れた医薬品)」を展開するという、新しいビジネスが動き出しました。

 

後発品の使用拡大や薬価の引き下げによる市場縮小を背景に、武田薬品のように長期収載品を他社に売却する動きが加速しています。その受け入れ先として存在感を強めているのが、外資系の後発品企業です。

 

インド・ルピン傘下の共和薬品工業は、12月1日付で塩野義製薬から長期収載品21製品の移管を受けます。共和薬品の16年3月期の売上規模は250億円。薬価ベースで年間94億円に上る販売移管により、売り上げは大きくベースアップすることになります。

 

同じくインドのサン・ファーマシューティカルズ・インダストリーズの日本法人サンファーマは、ノバルティスファーマから長期収載品14製品を今年10月から来年にかけて順次移管すると発表しました。

 

サンファーマは世界5位、インドでは最大手の後発品企業ですが、日本で展開しているのは向下垂体前葉ホルモン製剤オクトレオチドと抗菌薬レボフロキサシンの高用量製剤のみ。移管される長期収載品14製品の年間売上高は1億6000万ドル(約165億円、1ドル=103円で換算)。これら製品の販売では田辺三菱製薬と提携を結びました。本格的な事業展開に向け、日本市場の足場を固めることになります。

 

長期収載品の移管を受けた主な外資系後発品企業

 

苦戦強いられる外資系後発品企業

欧米に比べて後発品の使用割合が低い日本には、一時、有望市場と見た外資系製薬企業の参入が相次ぎました。中でも活発だったのがインド勢。圧倒的なコスト競争力を武器に、ランバクシーやドクターレディース・ラボラトリーズ、ザイダスなどが日本市場に参入しました。

 

ところが各社とも、日本市場が求める品質や規制の壁に直面し、苦戦を強いられます。2009年には、ランバクシーと日本ケミファが資本業務提携を解消。ドクターレディース・ラボラトリーズと富士フイルムは13年、11年に交わした合弁会社設立に向けた基本合意を解消しました。

 

日本ユニバーサル薬品を買収して参入したザイダスも、14年には日本市場から完全撤退しています。インド勢以外では、あすか製薬と米アクタビス(現アラガン)との合弁会社も、目立った成果が挙げられないまま、今年、アラガンが後発品事業をテバに売却したことで解消となりました。

 

テバも例外ではありません。05年には日本法人テバファーマスーティカルを設立し、08年には本格参入に向けて興和と組んで合弁会社「興和テバ」を設立。11年には大洋薬品工業を買収し、その2ヶ月後には興和との合弁を解消と、紆余曲折を経ながら日本事業の基盤構築を進めてきました。

 

デバに日本事業をめぐる主な動き

 

ところが、度重なる製品回収や販売中止に加え、旧大洋薬品の不祥事(承認規格外の製品を出荷)も長く尾を引き、市場拡大の波には乗れず。世界最大手でありながら、日本市場では存在感を発揮できずにいました。

 

市場開拓の突破口に

今回、合弁会社に「武田」の名を掲げ、ブランド品を扱うことで、テバの市場での信頼感は格段にアップすることでしょう。10月1日の社名変更に合わせてリニューアルした武田テバのウェブサイトは、大洋薬品時代に不祥事を起こした「高山工場の品質ポリシー」というページをわざわざ設けるなど、品質のアピールに多くを割いています。国内最大手の信頼を借り、足元を固め直したいテバの思惑の表れでしょう。

 

長期収載品というブランドを扱うことは、信頼感を向上させるとともに、医療機関へのアプローチの足がかりとなります。医療機関がこれまで通り同じ長期収載品を使おうとすれば、必然的に後発品企業との取り引きが始まり、MRの訪問も生まれます。長期収載品で実績を作っておくことで、自社の後発品が発売された時も円滑な取り引き開始につなげることができます。長期収載品で基礎を築き、そこを突破口に市場開拓を加速させるのが狙いです。

 

オーソライズド・ジェネリックの展開は?

英グラクソ・スミスクライン(GSK)と戦略提携を結んで日本市場に参入した南アフリカのアスペンは、抗菌薬「オーグメンチン」などGSKの長期収載品を受け入れるとともに、オーソライズド・ジェネリック(AG)を積極的に展開。今年は、GSKの抗ウイルス薬「バルトレックス」と抗うつ薬「パキシル」のAGをすでに発売。12月には偏頭痛治療薬「イミグラン」のAGも発売される見込みです。

 

武田テバも今年9月、あすか製薬のAGと同時に他社に先駆けて「カデチア」(ARBと利尿薬の配合剤、先発品は武田薬品の「エカード」)を発売。従来、武田薬品の製品のAGは資本関係にあるあすか製薬が手がけてきましたが、テバも武田薬品との合弁によってそのオプションを手にしたことになります。あすか製薬との関係も含め、武田テバがどのようなAG戦略を取るのか、注目が集まります。

 

一時は勢いを失ったかに見えた外資系後発品企業ですが、長期収載品とAGという2つの戦略を手に、再び日本市場に攻勢をかけています。「数量シェア80%」の目標が達成される2020年度以降は市場の縮小もささやかれているだけに、再編含みの生き残り競争は一層激しくなっていくでしょう。

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