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製薬業界、従業員を「減らした企業」「増やした企業」

2014年前後から、製薬業界でも活発化したリストラ。主力製品の特許切れや後発医薬品のシェア拡大、薬価の引き下げ、研究開発の生産性の低下といった厳しい事業環境を背景に、業界のトレンドは人員削減に向かっています。

 

従業員数の増減は、企業の勢いを知るバロメーターの1つ。AnswersNewsでは今回、製薬業界で過去5年間に従業員を減らした企業、増やした企業を独自に調査。あわせて、給与の増減との関係も分析しました。

 

 

5年前から従業員を減らした14社

今回の集計対象としたのは、東証1部に上場し、医療用医薬品を中心に事業展開している製薬企業。2016年3月期(15年度)と、5年前の11年3月期(10年度)の有価証券報告書に記載されている単体の従業員数を増減率で比較しました(一部決算期の異なる企業あり)。本業の事業実態が反映されない持株会社(大塚ホールディングス、大正製薬ホールディングス、キョーリン製薬ホールディングス)と、5年前は上場していなかったペプチドリームは集計から除外しています。

 

この5年で従業員を減らした企業には、大手やそれに次ぐ規模の企業が目立ちます。

 

5年前から従業員を減らした企業

 

減少率で1位となったのはエーザイ。単体で5年前に4322人いた従業員は、15年度末には3504人となりました。10~13年度に認知症治療薬「アリセプト」とPPI「パリエット」の主力2製品が特許切れを迎え、14年1月に希望退職の募集を実施。396人が応募しました。新卒採用を大幅に縮小した年もあり、従業員は5年で818人、率にして18.9%減少しました。

 

減少した人数で1位となったのは、第一三共。5年で837人減っており、減少率では13.9%で3位です。14年12月に最主力品のARB「オルメテック」の特許切れを見据えて早期退職を行い、グループ全体で513人が応募しました。中山譲治社長は3月の中期経営計画説明会で「今現在、要員を減らすという計画ではない。ただし、それは事業体制に応じて変化しなければならない」と語りました。

 

大手のアステラス製薬は減少率8.6%で7位。人数では第一三共、エーザイに次ぐ規模で、5年で493人減少しました。14年6月と9月に行った早期退職では、300人の応募枠に対してグループ全体で約430人が応募。13年には主力の免疫抑制剤「プログラフ」を生み出した発酵研究から撤退するなど、大胆な組織改革も目立ちます。

 

大手に次ぐ規模の企業では、大日本住友製薬が10.5%(469人)、田辺三菱製薬が3.6%(177人)減少しました。田辺三菱は15年12月に上限を定めずに早期退職を募集。634人が応募し、大規模なリストラとなりましたが、15年度末の従業員数にはこの減少分は反映されていません。田辺三菱は16~20年度の中期経営計画で、15年9月末時点で6176人いた国内従業員(連結)を5000人まで縮小する方針で、さらなるリストラもあり得ます。

 

5年前から従業員を増やした15社

大手や準大手で人員を減らす企業が目立つ一方、新薬メーカーで大幅に人員を増やしたのが小野薬品工業。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の発売でオンコロジー領域の体制強化を図る同社は、過去5年で20.0%(484人)増加。特にこの1年の増加は顕著で、14年度末から15年度末の間で250人増えました。

 

5年前から従業員を増やした製薬企業

 

増加率の上位4社は全て後発品企業。トップの沢井製薬は5年で8割増え、807人だった従業員数は1453人に。今年7月からは、それまで契約社員だった約700人の工場従業員を正社員として登用しました。

 

増加率2位の東和薬品は2000人の大台に乗り、従業員数では後発品企業トップ。日医工は43.9%増、富士製薬工業も38.7%増と伸びが大きく、市場拡大の勢いが人員体制にも表れています。

 

給与も従業員も増えた企業は?

過去5年の従業員の増減率と給与(平均年収)の増減率をプロットしたのが次のグラフです。縦軸に給与の増減率、横軸に従業員の増減率を取っています。

 

5年前から従業員と給与の増減

 

過去5年で従業員も給与も増えた企業(グラフではオレンジ色でプロット)は12社。後発品企業が4社とも入っているほか、新薬メーカーでは業績好調な小野薬品や中外製薬も含まれます。

 

従業員は減らしたものの、給与が増えた企業(紺色でプロット)は13社。アステラス製薬や第一三共、エーザイの大手3社や、準大手の田辺三菱製薬や大日本住友製薬、塩野義製薬がここに位置します。

 

従業員数は増えた一方で給与を減らした企業(黄色でプロット)は、日本新薬とゼリア新薬工業、持田製薬の3社。従業員も給与も減少した(水色でプロット)のは協和発酵キリンのみでしたが、減少幅はいずれも小幅にとどまっています。

 

「選択と集中」削減の流れ止まらず

国内の製薬企業では最近、事業の「選択と集中」を図る動きが活発化しています。

 

武田薬品工業は世界規模で研究開発体制を再編する方針で、国内では大阪・十三の製剤研究所を閉鎖する予定です。エーザイは昨年、医薬品製造販売のサンノーバや診断薬のエーディアなど子会社を相次いで売却。武田薬品や塩野義製薬のように長期収載品を他社に移管したり、工場を手放したりする動きも広がっています。

 

今回、集計対象とした29社の15年度の従業員数は計6万8774人で、5年前と比べると0.1%減(80人減)とほぼ横ばい。しかし、外資系製薬企業の人員削減は著しく、業界全体としては減少傾向が加速しているとみられます。大型製品の減少や長期収載品の売り上げ減によりMRの過剰感も聞かれており、「選択と集中」の中で人員削減の流れも止まりそうにありません。

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