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動き出した「地域医療連携推進法人」…医薬品の採用にも影響、地域市場に大きな変化?

地域の医療機関の機能分化と連携の推進に向けた切り札の1つとして創設された「地域医療連携推進法人」が動き出しました。制度の施行は2017年度からですが、全国各地で設立に向けた検討が進んでいます。

 

地域の複数の医療法人を束ね、医療機関や介護施設の機能分化・連携を進めようというこの制度。医薬品の採用にも影響が出そうで、製薬企業へのインパクトも小さくありません。

 

 

 

地域医療連携推進法人とは

地域医療連携推進法人とは、地域で医療機関を開設している複数の医療法人などが参画して新たな法人(地域医療連携推進法人)を作り、複数の医療機関や介護施設を一体的に運営する制度です。昨年9月に成立した改正医療法で創設され、来年4月に施行される予定になっています。

 

一体的運営で連携・機能分化を推進

検討段階で「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」と呼ばれていた通り、この制度は、地域医療連携推進法人の傘下に、地域にある複数の医療法人を束ねます。

 

ただし、企業で言う持ち株会社のように、親会社がグループ会社を支配するような制度ではありません。地域医療連携推進法人は、地域の医療機関をネットワーク化し、その本部機能を一括して担うものとして位置付けられています。

 

地域医療連携推進法人に参加できるのは、病院や診療所を開設する医療法人などの非営利法人。介護事業などを行う非営利法人も参加することができますが、株式会社などの営利法人の参加は認められません。

 

地域医療連携推進法人は、都道府県が策定中の「地域医療構想」を実現させるための手段として創設されました。地域医療構想とは、2025年の医療機能ごとの医療需要と必要病床数を、2次医療圏を原則とする「構想区域」ごとに推計し、それに合わせた医療提供体制を構築するための施策を定めるものです。

 

このため、地域医療連携推進法人の範囲も構想区域を想定しており、広域にまたがるような法人は想定されていません。基本的には、2次医療圏内で医療提供体制の再編を目指すものになります。

 

地域医療連携推進法人1

 

最大のメリットは医療資源の有効活用

地域医療連携推進法人制度の狙いは、地域医療構想の実現に向けて医療機関の機能分化と連携を進めることです。法人の業務内容は

▽統一的な医療連携推進方針(病院などの連携推進の方針)の決定
▽診療科(病床)再編、医師らへの共同研修、医薬品などの共同購入、資金貸付、関連事業者への出資、医師の配置換え、など
▽参加法人の統括(予算・事業計画などへの意見)

とされています。

 

病床や診療科を再編、医師の配置変えも

地域医療連携推進法人を活用することの最大のメリットは、地域の医療資源を有効活用することでできる点です。

 

地域医療連携推進法人は、参加法人が開設する病院・診療所の間で診療科や病床を融通したり、医師の配置を変えたりといったことができます。厚生労働省は、こうしたことを通じて、

過剰な急性期病床を、不足している回復期病床に転換する
分散している診療科を再編して病院間で役割を分担する
不足している在宅医療を担う診療所を新たに開設する

といったことが可能になるとしています。これまで地域で競合していた病院・診療所が、統一した方針のもとで強調することにより、機能分化と連携をよりスムーズに進めようということです。

 

さらには、急性期から回復期・在宅への患者の流れの円滑化や、患者情報の一元化による情報共有、医療従事者のキャリアパスの構築、といったことも期待されています。

 

共同購入で勝敗くっきり

このように、医療の機能分化・連携を進める上でさまざまなメリットがあるとされる地域医療連携推進法人は、製薬企業のビジネスにも大きな影響を及ぼします。

 

業務内容に「医薬品の共同購入」とある通り、地域医療連携推進法人が設立されれば、医薬品の購買を連携推進法人本部で一括して行おうという動きが強まると考えられます。実際、医薬品の共同購入をキーに連携推進法人の設立を検討しているところもあります。

 

医薬品の共同購入は、価格交渉でスケールメリットを発揮し、納入価格を抑えてコストを削減することが目的。共同購入に参加する医療機関の間では、使用する薬剤の統一(標準化)が行われます。医薬品の共同購入はすでに、公的病院や自治体病院などで行われています。

 

連携推進法人でも同じようなことが想定されます。参加する複数の医療機関の間で採用品目が絞り込まれ、結果として自社製品が採用されなくなってしまうかもしれません。採用品目に選ばれれば大きなシェアを獲得できる一方、選ばれなければその法人内での売り上げはゼロになります。

 

周辺の医療機関や薬局の薬剤選択にも大きな影響を与えるとみられ、地域の医薬品市場は“勝ち負け”のはっきりした市場に変わっていくでしょう。

 

地域医療連携推進法人による共同購入がもたらす変化

 

市場の変化に合わせ、製薬企業には、個別医療機関ではなく連携推進法人にフォーカスした営業活動が求められることになります。グループ病院やチェーン薬局と同じような取引が、地域ごとに行われることになると考えられます。

 

各地で進む設立に向けた検討

地域医療連携推進法人制度が施行されるのは来年4月の予定です。現在、各地で設立に向けた検討が進んでいます。

 

鹿児島市では今年4月、相良病院(社会医療法人博愛会)と新村病院(医療法人真栄会)が業務提携を結びました。連携推進法人の設立を見据え、薬剤や機器の一括購入や診療の分担を行うといいます。

 

岡山では大学病院中心に設立構想

岡山市では、岡山大病院、岡山市民病院、岡山労災病院、岡山日赤病院、岡山済生会病院、国立病院機構岡山医療センターの6病院による連携推進法人の設立構想が持ち上がっています。文部科学省は付属病院を大学と別法人として運営できるよう、法制度の見直しを進めています。

 

また、石川県では恵寿総合病院(社会医療法人財団董仙会、七尾市)が、岡山県では金田病院(社会医療法人緑荘会)と落合病院(医療法人社団井口会、いずれも真庭市)が、それぞれ連携推進法人の設立を検討しています。

 

厚生労働省によると、全国30ヶ所以上で連携推進法人の設立に向けた検討が進んでいます。連携のパターンもさまざまで、下の表のような事例が実際に検討されているといいます。

 

地域医療連携推進法人設立に向けた検討事例

 

地域の医薬品市場にも大きな影響を与えることになりそうな地域医療連携推進法人。それぞれの地域でどんな連携が考えられているのか、どんな医療機関が参加しそうか、動向を注視しておく必要があります。

 

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