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後発品の使用促進、カギ握る病院・診療所…診療報酬改定が市場に与えるインパクト

2016年度の診療報酬・調剤報酬改定で、後発医薬品の使用促進策が強化されました。使用目標の見直しに合わせ、薬局や入院医療への加算の要件を引き上げ、これまでほぼ手付かずだった診療所(院内処方)にも後発品使用を評価する加算を新設しました。

 

政策的な後押しを受けて拡大を続ける後発品市場に、今回の改定はどんなインパクトを与えるのでしょうか。改定内容から市場を展望します。

 

 

拡大続ける後発品市場

政府は昨年6月、後発品の使用割合を「2017年半ばまでに70%以上、18年度から20年度末までのなるべく早期に80%以上」とする目標を打ち出しました。

 

一方、足元の状況はというと、15年9月時点の使用割合は56.2%(厚生労働省調査)。最初のターゲットとなる「17年半ばまでに70%以上」を達成するためには、2年弱の間で14ポイント近くも引き上げなければなりません。13年9月から15年9月の伸び率は10ポイント程度でしたので、これまで以上に後発品への切り替えを加速させる必要があります。

 

後発品大手の売上は09年から2倍超に

国はこれまでも、医療現場にさまざまなインセンティブを与えて、後発品の使用を促進してきました。使用促進策を追い風に、国内の後発品市場は急成長。後発品大手3社だけを見ても、売上高は09年から2倍以上の規模に拡大しました。

 

後発品大手3社の売上高推移

 

民間調査会社の富士経済は、15年に7897億円と見込まれる国内後発品市場が、18年には1.4倍の1兆1172億円に伸びると予想しています。使用目標の引き上げを受け、政策的後押しによる市場拡大は当面続きます。

 

病院・診療所にテコ入れ

新目標の達成に向け、2016年度診療報酬・調剤報酬改定では、後発品の使用促進策がさらに強化されました。主なものは

薬局の「後発品調剤体制加算」の基準引き上げ
入院の「後発品使用体制加算」の基準・点数見直し
診療所の院外処方に「外来後発品使用体制加算」を新設
院外処方の「一般名処方加算」の基準・点数見直し
DPCの「機能評価係数Ⅱ」の基準引き上げ

の5点。過去の改定と比べると、病院や診療所向けの点数に多くの見直しが入りました。薬局に比べて使用拡大の余地が大きく残っているだけに、使用割合向上のカギを握る病院・診療所で後発品の使用を加速させたい厚労省の姿勢が表れています。

 

2016年度改定で強化された後発品使用促進策

 

DPCでは拡大も、非DPC病院は消極的

今回の使用促進策の強化は、後発品市場にどんなインパクトを与えるのでしょうか。

 

DPC病院はすでに半数が70%を達成

DPCの「機能評価係数Ⅱ」の基準見直しは、引き続きDPC病院での後発品の使用を後押ししそうです。

 

今回の改定では、新目標に合わせて基準が70%に引き上げられましたが、今年度は1667のDPC病院のうち、すでに900近い病院がこの基準をクリア。基準が60%だった昨年度に基準を満たした病院は約300だったので、いかにDPC病院で後発品の使用が加速しているかが分かります。

 

次回改定では、この基準が80%まで引き上げられる可能性が高いと考えられます。数千万円単位で病院の収益を左右するだけに、各病院は今後も基準の引き上げを見据えて後発品の使用を進めていくでしょう。

 

非DPC病院へのインセンティブ、効果には疑問

一方、DPCに対応していない病院では、使用がなかなか進んでいません。10年度改定では、入院患者への後発品の使用を評価する「後発品使用体制加算」が新設されましたが、15年6月末時点の算定率は病院が30.5%、有床診療所が2.8%にとどまりました。

 

今回の改定では、この加算に見直しが入りました。従来は「使用割合30%以上=35点」「20%以上30%未満=28点」だったものを

70%以上=42点(新設)
60%以上70%未満=35点(点数据え置き)
50%以上60%未満=28点(同)

の3段階に再編しました。使用割合の算出方法を「後発品採用品目÷全採用品目」から、「調剤した後発品÷(調剤した後発品のある先発品+後発品)」に変更されたため、単純比較はできませんが、ハードルは高くなったととらえる向きが多いようです。

 

これまでと同じ点数を取ろうと思えば、後発品の使用を増やす必要がありますが、そもそも算定に消極的な病院・有床診が多い中、どれだけ使用促進につながるかは疑問が残ります。今回、新たに高い点数も設定されましたが、後発品に対する不安感は依然として根強く、インセンティブとしての効果は不透明です。

 

外来の使用促進策も効果は限定的?

一方、外来では主に2つの見直しが行われました。

 

先発品からの薬価差の方が有利?

1つは、「外来後発品使用体制加算」の新設です。後発品の割合が70%以上の場合は4点、60%以上70%未満の場合は3点が処方料に加算されます。

 

これまでインセンティブがなかった院内処方での後発品使用を評価することで、後発品の使用促進を狙うものですが、大きな効果は得られにくそうです。加算よりも、先発品を使って得られる薬価差の方が大きいと考えられるためです。4点あるいは3点という点数設定では、インセンティブとしては不十分でしょう。

 

薬イメージ

 

“プラス1点”は負担に見合う?

2つ目は、一般名処方加算の見直しです。これまでは、交付した処方箋に1品目でも一般名処方された医薬品が含まれていれば処方箋料に2点を加算することができました。今回はこれに加え、後発品のある全ての医薬品を一般名処方した場合は3点を取れるようにしました。

 

一般名処方加算は、医師をターゲットとした使用促進策の切り札として2012年度の改定で新設。処方箋に占める一般名処方箋の割合は、診療所で約半数、病院で約2割まで拡大し、使用促進に一定のインパクトを与えています。

 

ただ、今回の見直しで新たに設けられた3点のハードルはかなり高いと言えます。医師は一般名にさほど精通しておらず、医師は一般名処方に多少なりとも負担を感じています。負担を増やしてまでプラスの1点を取りにいく医師がどれほどいるかは疑問です。

 

主戦場は引き続き薬局とDPCか

こうして見てみると、今回の診療報酬改定が後発品市場に与えるインパクトは、さほど大きくないと予想されます。カギとなる病院・診療所での使用促進は、引き続きDPC病院が中心となるでしょう。

 

調剤報酬では、薬局の「後発品調剤体制加算」の要件が、新目標に合わせて引き上げられました。薬局での後発品使用割合は使用促進策が強化されるたびに上昇しており、今回の見直しによって一段と切り替えが進むとみられます。

 

後発品企業は、使用促進策によるインセンティブが大きいDPC病院と薬局を中心に売り上げを伸ばしてきました。今回の改定では多くの項目で使用促進策が強化されましたが、後発品市場の主戦場は引き続きDPC病院と薬局ということになりそうです。

 

インセンティブ頼みは限界に

一方で、診療報酬・調剤報酬上のインセンティブによる後発品の使用促進には、限界も見えつつあります。

 

例えば、15年10月の薬局の後発品使用割合を見ると、26%の薬局が70%を超えている半面、32.8%の薬局は55%を下回っており、薬局の間でも二極化が指摘されています。前述した入院の後発品使用体制加算の算定が低調なことも、インセンティブの限界を示していると言えます。

 

後発品の品質に対する医師や患者の不安感は依然として根強く、安定供給への懸念も拭い切れていません。インセンティブ頼みではなく、信頼感の向上も市場拡大の追い風にしたいところです。

 

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