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【2016年に発売が予想される新薬まとめ】高脂血症に抗PCSK9抗体、日本発のMEK阻害剤など抗がん剤も続々

C型肝炎治療薬「ソバルディ」「ハーボニー」(いずれもギリアド・サイエンシズ)が発売直後から爆発的に売り上げを伸ばし、話題となった2015年の国内医療用医薬品市場。2016年はどんな新薬が登場するのでしょうか。今年国内で発売が予想される主な新薬を、領域別にまとめました。

 

 

【高脂血症の新薬】抗PCSK9抗体「レパーサ」が4月にも発売

高脂血症

 高脂血症に今年、初めて抗体医薬が登場します。国内初の抗PCSK9抗体となるアステラス・アムジェン・バイオファーマの高脂血症治療薬「レパーサ」(一般名エボロクマブ)が今年1月に承認を取得。4月にも発売される見通しです。

 

PCSK9(ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)は、「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)を血中から取り除く肝臓の働きを低下させるタンパク質です。

 

PCSK9はLDL-Cを取り込むために肝細胞上に存在しているLDL受容体(LDLR)に結合し、その分解を促します。LDLRが分解されてLDLRの数が減ってしまうと血中の過剰のLDL-Cを取り込むことができなくなってしまいます。レパーサはPCSK9に結合してその働きを阻害し、LDLRの分解を抑制。血中からのLDL-Cの取り込みを増やし、LDL-C値を低下させるのです。

 

アステラス・アムジェン・バイオファーマは、2013年に設立されたアステラス製薬と米アムジェンの合弁会社。レパーサは同社にとって初の製品となります。アムジェンとしては日本市場再参入への足がかりとなる製品だけに、販売動向が注目されます。

 

サノフィも申請中

高脂血症の領域では、サノフィも抗PCSK9抗体アリロクマブを2015年8月に申請。興和は従来のフィブラート系薬剤に比べて活性と選択性を高めたペマフィブラートを申請中で、いずれも2016年中の発売が見込まれます。

 

1000億円規模の売り上げを誇った「リピトール」など大型品に後発医薬品が参入し、成熟化した高脂血症治療薬市場ですが、既存薬では治療できない難治性の高脂血症は成長余地の残る有望市場。相次いで新薬が発売される今年、かつての大型市場が再び活性化することになりそうです。

 

【がんの新薬】JT創製のMEK阻害剤「メキニスト」が登場

がん_新薬

 新製品が次々と発売され、市場拡大が続く抗がん剤。IMSジャパンのデータによると、2015年の国内の抗がん剤市場は8203億2300万円(前年比9.7%増)に達し、薬効別では国内最大の市場となっています。2016年も新たな薬剤が続々と登場する見込みです。

 

ノバルティスファーマのBRAF阻害剤「タフィンラー」(ダブラフェニブ)とMEK阻害剤「メキニスト」(トラメチニブ)は近く承認される見通しです。

 

適応はいずれも「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」で、タフィンラーは単剤もしくはメキニストとの併用、メキニストはタフィンラーと併用して使います。

 

メキニストは世界初のMEK阻害剤で、日本たばこ産業(JT)と京都府立医科大の酒井敏行教授が共同で見出した、日本発のファースト・イン・クラスの薬剤です。MEKとはがん細胞の増殖シグナル伝達経路に存在するリン酸化酵素。メキニストはこのMEKの働きを阻害することで増殖シグナル伝達経路を遮断し、がん細胞の増殖を抑えます。

 

免疫療法にも新薬続々 

2014年9月の「オプジーボ」(小野薬品工業)、2015年8月の「ヤーボイ」(ブリストル・マイヤーズ)の発売によって普及が進むがん免疫療法にも、新たな薬剤が登場します。

 

ブリストルのエロツズマブはNK細胞を活性化することで抗腫瘍効果を発揮、ペムブロリズマブはオプジーボと同じくT細胞上のPD-1を阻害することで免疫を活性化させます。

 

肺がんにも2つの新薬が登場しそうです。ノバルティスの「ジャカディア」(セリチニブ)は、ファイザーの「ザーコリ」、中外製薬の「アレセンサ」に続く3剤目のALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がん治療薬。アストラゼネカの「タグリッソ」(オシメルチニブ)は日本肺癌学会などが厚生労働省に早期承認を求めており、厚労省が優先審査品目に指定しています。

 

【中枢神経系の新薬】エーザイ期待の「フィコンパ」、舌下錠の抗精神病薬も

中枢神経_新薬

がん領域とともに製薬各社が力を入れる中枢神経系領域で目立つのは抗てんかん薬です。現在、3成分が申請中で、いずれも年内の発売が見込まれます。

 

「フィコンパ」(ペランパネル)は、エーザイが「アリセプト」「パリエット」に代わる次期主力品として位置付ける自社創製のAMPA受容体拮抗薬です。グルタミン酸による興奮性シナプス伝達を担うAMPA受容体が活性化するのを阻害し、神経の過剰興奮を抑制、てんかん発作の発生を抑えるという新規の作用機序を持ちます。

 

国内のてんかん患者数は約100万人とされており、このうち3割が既存の抗てんかん薬では発作を十分にコントロールできていないと言われています。アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患で、近年、新薬の発売が相次いでおり、市場での競争も激しくなっています。

 

抗精神病薬の舌下錠は初

Meiji Seika ファルマが申請中の統合失調症治療薬「シクレスト」(アセナピン)は、MSDから導入した新規非定型抗精神病薬。従来の抗精神病薬にはなかった舌下錠で、既存薬にはない多様な受容体に作用するという特徴を持ちます。

 

抗うつ薬「リフレックス」などを販売し、中枢神経系領域に強いMeiji Seika ファルマですが、統合失調症の新薬を扱うのは初めて。アセナピンを製品ラインアップに加えることで、中枢神経系領域のさらなる強化を狙っています。

  

【乾癬の新薬】新たに2つの生物学的製剤が発売へ

乾癬_新薬

相次ぐ生物学的製剤の登場により、急速に市場が拡大している乾癬治療薬。民間調査会社の富士経済は、乾癬治療薬市場は2020年に652億円に達し、2013年に比べて3.1倍の規模に拡大すると予測しています。2016年には、新たに2つの生物学的製剤の発売が見込まれており、競合はさらに激化する見通しです。

 

協和発酵キリンのブロダルマブと日本イーライリリーのイキセキズマブは、炎症にかかわるサイトカインであるインターロイキン17(IL-17)の働きを阻害するものです。

 

ブロダルマブはIL-17の受容体に、イキセキズマブは6種類あるIL-17のうちIL-17Aに結合し、これによって皮膚や関節の炎症を抑えます。IL-17Aをターゲットとした乾癬治療薬としては、昨年2月にノバルティスが発売した「コセンティクス」(セクキヌマブ)があります。

  

【消化器・骨粗鬆症などの新薬】メサラジンに新製剤、骨粗鬆症には年1回投与

その他_新薬

消化器領域では、持田製薬が潰瘍性大腸炎治療薬メサラジンを申請中です。

 

メサラジンは杏林製薬の「ペンタサ」、ゼリア新薬工業の「アサコール」としてすでに販売中。持田製薬のメサラジンは1日1回投与であることが特徴です。ペンタサとアサコールは1日3回投与(ペンタサは寛解期は1日1回投与も可)ですので、利便性の向上が期待されます。

 

年1回投与は初 

骨粗鬆症では、旭化成ファーマがゾレドロン酸を発売する見込みです。骨吸収(新しい骨を作るために古くなった骨を破壊する)の亢進を抑制するビスホスホネート製剤で、最大の特徴は年1回点滴するだけで治療できる点です。

 

骨粗鬆症治療薬の投与間隔は長期化が進んでおり、2013年には半年1回投与の抗RANKL抗体「プラリア」(第一三共)が登場しましたが、年1回投与はゾレドロン酸が初めてとなります。

 

中外製薬の「ボンビバ錠」(イバンドロン酸)は、2013年8月に発売された「ボンビバ静注」の経口剤。ゾレドロン酸と同じビスホスホネート製剤ですが、こちらは月1回投与となります。1月に承認を取得しており、4月にも発売される見通しです。

  

【ワクチン】インフルワクチンに皮内投与型

ワクチン_新薬

ワクチンで注目されるのは、ジャパンワクチンが2015年4月に申請した、皮内投与型インフルエンザワクチンです。

 

ワクチンは皮下や筋肉内に投与するのが一般的ですが、皮内投与型ワクチンは免疫細胞が多く存在する皮膚上層部(皮内)に投与します。これにより、より高い効果が期待できるほか、穿刺時の痛みも軽減されるといいます。

 

申請中の皮内投与型インフルエンザワクチンは、第一三共とテルモ、第一三共北里ワクチン、ジャパンワクチンの4社が共同開発。テルモが開発した皮内投与専用の注射針にプレフィルドシリンジを組み合わせた専用デバイスに、第一三共北里ワクチンのインフルエンザHAワクチンを充填しています。

 

× × ×

 

薬価改定の影響で停滞が予想される2016年の国内医薬品市場。厳しい状況の中、新製品が市場にどんなインパクトを与えるのか、動向に注目です。

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