中央社会保険医療協議会(中医協)は5月16日、中外製薬の血友病A治療薬「ヘムライブラ」やMSDの抗ウイルス薬「プレバイミス」など新薬15成分21品目の薬価を了承した。プレバイミスには画期性加算(75%)がついたほか、昨年7月の承認後3回にわたって薬価収載を見送っていた興和の高脂血症治療薬「パルモディア」もようやく収載されることになった。収載は22日の予定。
画期性加算は3年ぶり5製品目 ヘムライブラには有用性加算(I)
画期性加算がついた「プレバイミス」(一般名・レテルモビル)は、同種造血幹細胞移植患者のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制を適応とする抗ウイルス薬。新規作用機序の薬剤であることに加え、国際共同治験で既存治療に比べて全死亡率を改善したことなどが評価された。
画期性加算がついたのは3年ぶりで、免疫抑制剤「プログラフ」、脳保護剤「ラジカット」、抗真菌薬「ファンガード」、抗ウイルス薬「ソバルディ」に続いて5製品目。
「ヘムライブラ」(エミシズマブ)はインヒビター保有の血友病Aを対象とする二重特異性抗体。利便性が高いことや、感染リスクのあるヒト・動物由来の原材料が使われていないことが評価され、50%の有用性加算(I)を獲得した。
先駆け審査指定制度の対象品目であるノーベルファーマの結節性硬化症に伴う皮膚病変治療薬「ラパリムスゲル」(シロリムス)には、有用性加算(II)と先駆け審査指定制度加算(加算率はいずれも10%)がついた。
パルモディア 有用性加算要求も却下
興和の「パルモディア」(ペマフィブラート)は、昨年7月に承認を取得したものの、厚生労働省との間で薬価をめぐる意見が折り合わず、薬価収載を3回見送っていた。今回了承された薬価は、類似性の乏しい新薬に適用される類似薬効比較方式(II)で算定。0.1mg1錠33.90円の薬価がついた。
薬価算定では興和側が、▽類似薬であるフェノフィブラートが禁忌である「肝障害のある患者」にも使用可能なこと▽腎障害やスタチンで治療中の患者に使用しやすいと学会などで評価されていること――を根拠に有用性加算(II)の適用を要求。
これに対して薬価算定組織は、▽既存のフィブラート系薬剤であるベザフィブラートは「腎障害のある患者」への投与は禁忌となっていない▽審査報告書では、臨床試験結果などから既存薬と同等の臨床的位置付けの薬剤と評価されている――として不服意見を却下した。
ヘルコニアにも有用性加算(I)
この日薬価が了承されたのはこのほか、
▽パーキンソン病治療薬「アジレクト」(ラサギリン、武田薬品工業)
▽2型糖尿病治療薬「スージャヌ」(シタグリプチン/イプラグリフロジン、MSD)
▽二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「オルケディア」(エボカルセト、協和発酵キリン)
▽爪白癬治療薬「ネイリン」(ホスラブコナゾール、佐藤製薬)
▽腰椎椎間板ヘルニア治療薬「ヘルコニア」(コンドリアーゼ、生化学工業)
など。ヘルコニアには40%の有用性加算(I)が、ネイリンには5%の有用性加算(II)がついた。
22日に収載される新薬15成分のうち、ピーク時の売上高予測が100億円を超えたのはスージャヌとパルモディアの2成分。スージャヌは221億円、パルモディアは140億円を見込んでいる。