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ニュース解説

オーソライズド・ジェネリック 薬価見直しで企業戦略に変化?

製薬企業の特許切れ対策として日本でも定着してきたオーソライズド・ジェネリック(AG)。4月の薬価制度改革で、AGにとって不利な方向に薬価改定のルールが見直されることになりました。これまでAGに積極的な姿勢を示してきた企業の戦略にも、変化が出てくるかもしれません。

 

多様化するAGビジネス

オーソライズド・ジェネリック(AG)とは、先発医薬品を製造販売するメーカーから特許権の許諾を受けた後発医薬品メーカーが販売する後発品のことです。

 

AGの大きな特徴は、原料や添加物、製造方法が先発品と同じであることと、特許権の許諾を受けているため、先発品の特許が切れる前に発売が可能であること。市場では圧倒的なシェアを獲得しており、後発品内でのそれは、おおむね60%に達します。

 

後発品への切り替えが加速する中、AGは先発品メーカーの市場防衛策として近年急速に浸透しています。長期収載品が後発品に切り替わっていくのをただ黙って見ているのではなく、AGを合わせた自陣営で高シェアを取り、置き換え分を少しでも取り込もうというのが狙いです。

国内で販売中の主なAGの表。<品名>フェキソフェナジン「SANIK」、<社名>日医工。<品名>バルサルタン「サンド」、<社名>サンド。<品名>カンデサルタン「あすか」、<社名>あすか。<品名>モンテルカスト「KM」、<社名>キョーリンリメディオ。<品名>オルメサルタン「DSEP」、<社名>第一三共エスファ。<品名>テルミサルタン「DSEP」、<社名>第一三共エスファ。<品名>ロスバスタチン「DSEP」、<社名>第一三共エスファ。<品名>ジエノゲスト「モチダ」、<社名>持田製薬販売。後発品の中でも大きな売り上げを見込めるAGは、受け皿となる後発品メーカーにとっても魅力的。第一三共エスファは昨年、親会社である第一三共の製品だけでなく、ARB「ミカルディス」や高脂血症治療薬「クレストール」など他社製品でも、特許の使用料を支払ってAGの販売に乗り出しました。

 

従来は子会社など先発品メーカーと何らかの関係がある後発品メーカーが扱うのが一般的だったAGも、浸透するにつれさまざまなビジネスモデルが生まれています。

 

ほかの後発品に合わせて低い薬価に

しかし、こうしたAGビジネスの盛り上がりに水を差しかねないのが、薬価改定のルール見直しです。今年4月の薬価制度改革では、AGにとっては不利となる薬価の引き下げルールが新たに導入されます。

 

後発品の発売時の薬価は、原則として先発品の0.5倍。ただし、内用薬で同時に10品目超が薬価収載される場合、薬価は先発品の0.4倍となります。AGはその特性上、通常の後発品より半年早く承認され、収載されることが少なくありません。この場合、AGの薬価は先発品の0.5倍となる一方、後から収載される通常の後発品の薬価は10品目を超えると0.4倍になります。

 

改定前年の6月にAG、12月に後発品の場合が対象

ここで問題になるのが、薬価改定の前年の6月にAGが収載され、半年後の12月に通常の後発品が収載される場合。改定の基礎資料となる薬価調査は改定前年の9月取引分を対象に行われますが、これでは通常の後発品は調査に間に合いません。後発品には改定時に価格帯を集約するルールもあり、こうした場合、通常の後発品の薬価がAGの価格まで引き上げられる可能性がありました。

 

この点については「近年増加しているAGに薬価制度が対応できていない」との指摘もあり、厚労省は今回、AGの薬価を、機械的に算出した通常の後発品の薬価に合わせて集約する新たなルールを導入。これによりAGの薬価は、市場実勢価格に基づく通常の改定を上回る引き下げを受けることになりました。

AGの薬価改定ルールの見直しの図。【これまでの課題】薬価改定の前年の6月にAGが発売され、12月に通常の後発品が遅れて収載される場合、AGの薬価は先発品の0.5倍、通常の後発品は内用薬で10品目超なら0.4倍で薬価収載。薬価調査が9月に行われた場合、通常の後発品は数量を把握できないため、価格帯集約のルール上、通常の後発品の価格がAGの価格まで引き上げられる可能性がある。【見直し後】当初先発品の0.5倍で薬価収載されたAGの実勢価格改定薬価が、遅れて0.4倍で収載された後発品だけからなる価格帯に入る場合、遅れて収載された後発品の実勢価を機械的に算定し、AGをそれに集約する。

オルメサルタンとロスバスタチンのAGに初適用

4月に行われる薬価改定でこの新ルールの適用を初めて受けるのが、第一三共エスファが販売するオルメテックとクレストールのAGです。オルメテックのAGである「オルメサルタンOD錠『DSEP』」は、汎用規格の20mg錠が56.40円から39.00円に集約。クレストールのAG「ロスバスタチン錠『DSEP』」は、2.5mg錠が31.60円から21.70円に集約されます。それぞれ30.9%、31.3%の大幅な引き下げとなりました。

薬価改定新ルールが適用されるAGの表

 

他社品取り込みにブレーキ?

AGは引き続き先発品メーカーにとって有力な市場防衛策となりますが、受け皿となる後発品メーカーにとっては、新ルールの適用を受ければAGを扱ううまみは減ります。特に第一三共エスファのクレストールAGのように、他社に特許の使用料を支払って販売しているケースでは利益が薄くなります。

 

同社をはじめ、新薬系後発品メーカーの中には、他社の製品も積極的にAGとして取り込んでいく姿勢を示している企業もあります。しかし、新ルールはこうした動きにブレーキをかけることになるかもしれません。特許使用料と薬価の見合いでどれだけ利益を得られるか、慎重な見極めが求められるようになります。

 

第一三共エスファの2017年4~12月期の売上高は、オルメテックやミカルディス、クレストールのAGが貢献し、343億円と前年比で118.9%増加と絶好調。昨年、子宮内膜症・子宮腺筋症治療薬「ディナゲスト」のAGを発売した持田製薬は38%増(後発品事業)、2016年に喘息治療薬「キプレス」のAGを投入したキョーリン製薬ホールディングスも13.7%増(同)と大きく売上高を伸ばしています。

 

後発品メーカー間での競争も激しくなる中、AGを持っているかどうかが業績を左右する大きな要素になってきています。AGの薬価改定の新ルールは、こうした流れにどんな変化をもたらすのか。今後の動向が注目されます。

 

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