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【押さえておきたい】2017年 がん領域で発表された注目の臨床試験データ|DRG海外レポート

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米国に本社を置くDecision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、2017年に発表されたがん領域で注目の臨床試験データをおさらいします。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

最もエキサイティングだったCAR-Tの承認

2017年、がん領域はとりわけ活況で実りの多い年だった。この数十年という単位で見て最も刺激的と言っていいデータのいくつかは、昨年、CAR-T細胞(キメラ抗原受容体発現T細胞)によってもたらされた。「治癒」という言葉を確信を持って使うにはまだ早いが、治療の難しい一部の血液腫瘍患者で良好な完全寛解率を示した。

 

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現在販売されている「Kymriah」と「Yescarta」はいずれも、自家細胞由来のCAR-T細胞製剤で、ほかに治療選択肢のない患者を対象に承認されている。しかしこれらは、重度で致命的ともなりかねない副作用と関連している。

 

希望が持てるのは、CAR-T細胞療法の今後の開発で、忍容性が改善され、より管理しやすく、ロジスティカルにより簡単な(他家細胞由来の)製剤が検討されていることだ。開発中のCAR-T細胞製剤、たとえばCD19を標的とするジュノ・セラピューティクスの開発品や、ブルーバード・バイオとセルジーンのBCMAをターゲットとした治療戦略は、臨床試験で顕著な有効性を示している。2018年も、このクラスの動きには注目だ。

 

乳がん リムパーザなどで有望なエビデンス

昨年はASCO(米国臨床腫瘍学会)でいくつも刺激的な臨床データが発表された。特に乳がんでは次のようなものが注目された。

 

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・「パージェタ」を「ハーセプチン」と化学療法の併用療法に上乗せすると、ハーセプチン+化学療法の場合と比べて、浸潤病変のない生存期間(iDFS)を改善することが示された。【APHINITY試験】

 

・「Verzenio」は、局所進行性または転移性のホルモン受容体陽性/HER2陰性患者の無増悪生存期間(PFS)の中央値をフルベストラント単剤よりも改善した。【MONARCH-2試験の中間解析】

 

・治療歴のあるBRCA1/2遺伝子変異陽性の転移性乳がん患者に「リムパーザ」を投与したところ、7カ月のPFSを達成した(対照群の化学療法は4.2カ月)。リムパーザはさらに、病勢進行の確立を42%低下させ、BRCA1/2遺伝子変異陽性の患者に優位な臨床的ベネフィットを示す初の分子標的薬となった。【OlympiAD試験の中間解析】

 

非小細胞肺がん アレセンサの直接比較試験が強烈な印象

2017年は、非小細胞肺がんでも有望な臨床データが発表された。

 

・「タグリッソ」は、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する1次治療を対象とした「FLAURA試験」で、標準治療を上回るPFSのベネフィットを示した。この結果はEGFR遺伝子変異陽性患者のファーストライン治療にタグリッソの適応を拡大する裏付けとなり、今後、投与を受ける患者は増えるだろう。

 

・米FDA(食品医薬品局)は2017年5月、「キイトルーダ」について、ペメトレキセド、カルボプラチンとの併用でファーストライン治療に使用することを承認した。この併用は、PD-L1の発現状況にかかわらず、非扁平上皮がんを対象としており、P2試験「KEYNOTE-021」でPFSと全奏効率のベネフィットが化学療法と比べて統計学的に優位に上回ったことに基づいて迅速承認された。

 この承認により、PD-L1の発現が少ない患者やPD-L1陰性の患者にも使えるようになるため、キイトルーダによる治療の機会は大きく広がる。キイトルーダは、化学療法との併用で承認を受けた初めての免疫チェックポイント阻害薬となり、これは注目に値する。

 

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・2017年のASCOでは、ALK融合遺伝子変異陽性患者のファーストライン治療を対象とした「ALEX試験」で、「アレセンサ」が「ザーコリ」と比較してPFSを大きく改善したことが際立って印象的だった。11月、アレセンサはファーストラインとしての適応拡大が承認され、ALK融合遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんでザーコリに取って代わると予想される。

 ノバルティスはロシュに半年先行して「ジカディア」のファーストライン適応の承認を取得したが、重要な臨床試験で対照薬に化学療法を使ったことで、獲得できるシェアは限定的なものとなるだろう。

 

がん領域は、臨床開発のペースと新薬承認数でほかの領域を圧倒しており、臨床データの量も膨大だ。2017年はイノベーションの進展が顕著だったのと同時に、「よく似た薬」や「セイム・イン・クラス(same-in-class)」の薬が複数承認された年でもあった。

 

(原文公開日:2018年1月5日)

 

【AnswersNews編集長の目】

近年、目覚ましい発展を遂げているがん領域の新薬開発。2017年は、CAR-T細胞療法が承認され、エポックメイキングな年となりました。

 

一方、免疫チェックポイント阻害薬では、期待に反する結果で失望を呼んだ臨床試験もありました。Decision Resources Groupのアナリストはこちらの記事で、その主なものとして7つを挙げています。一部を紹介すると、

 

・「オプジーボ」は膠芽腫を対象としたP2試験「CheckMate-143」で、「アバスチン」と比較して全生存期間(OS)を有意に改善できなかった。

 

・「テセントリク」は、プラチナベースの化学療法実施中または実施後に増悪した局所進行または転移性尿路上皮がんを対象としたP3試験「Mvigor-211」でOSを有意に改善しなかった。

 

・「Imfinzi」(デュルバルマブ)とトレメリムマブの併用療法は、ファーストラインのPD-L1陽性非小細胞肺がんを対象としたP3試験「MYSTIC」でPFSの主要評価項目を満たすことができなかった。

 

・「キイトルーダ」は、PD-L1陽性の胃または胃食道接合部がんのセカンドラインを対象としたP3試験「KEYNOTE-061」で、パクリタキセルとの比較でOSを有意に改善しなかった。

 

今年はどんなエビデンスが発表されるのでしょうか。やはりこの領域からは目が離せません。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。

 

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