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ニュース解説

「ハーボニー」偽造品流通から1年…再発防止 改正省令きょう施行「秘密厳守」根絶へ

C型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品騒動から1年余り。再発防止策を盛り込んだ改正省令がきょう1月31日、施行されます。

 

再発防止策の柱は取引時の身元確認の厳格化。偽造品の流通を許した「秘密厳守の取引」の根絶を狙います。

 

偽造品持ち込みの夫婦 逮捕へ

昨年1月に明るみになった、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品問題。発覚から1年余りがたった1月26日、偽造品を持ち込んだとされる人物に逮捕状が出たとのニュースが駆け巡りました。

 

時事通信の報道によると、医薬品医療機器等法違反の容疑で警視庁が逮捕状を取ったのは、別の薬物事件で公判中の40歳代の夫婦。昨年1月4日、東京都千代田区の卸売業者「エール薬品」(廃業)に偽造品のボトル2本を販売した疑いが持たれています。

 

エール薬品は、薬局などから余った薬を買い取り、別の薬局や病院に転売するいわゆる「現金問屋」。ハーボニーの偽造品は計15ボトルが見つかりましたが、いずれもエール薬品が最初に仕入れたことが分かっています。エール薬品は、相手の身元を確認せずに仕入れ、販売記録にも架空の社名を記載するなど、ウソの記録を残していました。

 

エール薬品に持ち込まれた偽造品はその後、複数の現金問屋を経由して奈良県の薬局チェーン「関西メディコ」に流通。このうち1本は調剤され、服用前に錠剤の異変に気付いた患者からの問い合わせで、問題が発覚しました。

「ハーボニー」偽造品問題の経緯の表。2017年1月17日:奈良県の薬局チェーンで偽造品の入ったボトル5本が見つかったと厚生労働省が発表。23日:都内の現金問屋から新たに偽造品9本が発見されたと厚労省が発表。2月1日:厚労省が偽造品の流通ルートをほぼ特定したと発表。都内の現金問屋から新たに偽造品1本を発見。3月7日:奈良県と奈良市が偽造品を調剤した薬局に改善措置命令。13日:東京都と大阪府が現金問屋計6社に改善措置命令。16日:奈良県と奈良市が偽造品を調剤した薬局に業務停止命令。4月12日:東京都が現金問屋2社に業務停止命令。2018年1月26日:偽造品を持ち込んだ容疑で男女2人に逮捕状。1月31日:再発防止策を盛り込んだ改正医薬品医療機器等法施行規則が施行。

 

取引時の本人確認を厳格化

問題を受け厚生労働省は、偽造医薬品対策の強化に乗り出しました。1月31日には再発防止策を盛り込んだ改正省令(医薬品医療機器等法施行規則)が施行されます。

 

再発防止策の柱は、取引時の身元確認の厳格化。偽造品問題を受けて設置された厚労省の検討会の報告書は「譲渡人の秘密厳守をうたう営業が行われており、こうした実態が今回の偽造品事案の背景となっている」と指摘。現金問屋の不透明な取引が偽造品の流通を許したと結論付けました。

 

改正省令では、卸売業者や薬局が医薬品を仕入れる際、販売許可証などで「相手の氏名・名称、住所・所在地、電話番号・その他の連絡先」を確認し、「ロット番号」「使用期限」などとともに記録に残すことを義務化。従来の施行規則では、「品名」「数量」「取引年月日」「相手の氏名」だけ記録しておけばよく、しかも許可証などによる身元確認の規定はありませんでした。今回、身元確認と記録を厳格化することで、取引記録の正確性と追跡可能性を担保し、秘密厳守をうたった取引を禁止します。

医薬品医療機器等法施行規則の改正などによる偽造医薬品の流通防止策。・販売許可証などによる身元確認を義務。取引時に記録が義務付けられる項目は、1.品名、2.ロット番号、3.使用期限、4.数量、5.取引年月日、6相手の氏名・名称・住所・所在地・電話番号・その他連絡先。7.6の事項を確認するために提示を受けた資料。・開封した医薬品を販売する場合、開封した者の名称・住所などを表示。・偽装を発見した場合の対応を業務手順書に明記。

 偽造品のハーボニーが外箱から出され、添付文書もない状態で流通していたことを踏まえ、開封した医薬品を売買する場合は開封した者の名称や住所を表示することもルール化。偽造などが疑われる医薬品を見つけた場合の対応(仕入れ経緯の確認や行政への報告など)をあらかじめ業務手順書で定めておくことも求められます。

 

日本薬剤師会と日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の業界3団体は、17年3月に薬局間での医薬品の譲渡に関するガイドラインを作成し、運用を始めています。薬を譲渡する薬局は、薬局開設許可証などの提示を求め、相手の薬局の許可番号や連絡先などを確認。同一チェーンの薬局間で譲渡する場合でも、こうした確認を徹底することにしています。

 

日本の医薬品市場は、国民皆保険と厳格に管理された流通網により、偽造医薬品が入り込む危険性は少ないと信じられてきましたが、ハーボニーの偽造品問題は決してそうではないことを知らしめました。秘密厳守という不適切な取引を根絶し、医薬品流通の安心を取り戻すことができるのか。関係者全体で再発防止策を徹底することが求められます。

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