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糖尿病 セマグルチドとデュラグルチド 医師が選ぶのはどっち?|DRG海外レポート

米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回取り上げるのは、2型糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬。ノボが開発した新しいGLP-1受容体作動薬セマグルチドと、イーライリリーが販売中のデュラグルチド。医師に選ばれるのはどちらなのでしょうか?

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

直接比較試験はセマグルチドに軍配

GLP-1受容体作動薬デュラグルチド(イーライリリーのトルリシティ)は、現在、米国と欧州で販売されている中で最も効果の高い2型糖尿病治療薬の1つだ。しかし、この週1回投与の注射剤は価格が高いため処方に数々の制約があり、一般的に使用は治療の後期段階に限られている。

 

ノボノルディスクは、同じく週1回投与のGLP-1受容体作動薬セマグルチド(オゼンピック)を開発した。ノボはすでに1日1回のGLP-1受容体作動薬リラグルチド(ビクトーザ)を販売している。セマグルチドは、化学基のスペーサーが異なっている以外はリラグルチドと同じアミノ酸配列をしている。

 

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構造的にリラグルチドと似ているとはいえ、同等の高分子が常に同じように標的分子とインタラクトするとは限らない。セマグルチドが心血管疾患アウトカム試験「SUSTAIN-6」でリラグルチドと同程度の心血管系のベネフィットを示したことは、ノボにとっては幸運だったと言える。

 

「SUSTAIN-7」は、セマグルチドとデュラグルチドの直接比較試験だ。40週にわたって行われたこの被験では、メトホルミンに追加した場合の有効性と安全性を、セマグルチド0.5mgとデュラグルチド0.75mg、セマグルチド1.0mgとデュラグルチド1.5mgで比較検討された。結果は2017年8月6日、ノボから発表されている。

 

それによると、セマグルチドを週1回投与した患者は、デュラグルチドを投与した患者よりもHbA1cと体重が統計的有意かつ大幅に減少していた。

セマグルチドとデュラグルチドの直接比較試験(SUSTAIN-7)の表。【ベースラインからのHbA1c減少量】<セマグルチド0.5mg>:1.50パーセント、<デュラグルチド0.75mg>:1.10パーセント、<セマグルチド1.0mg>:1.80パーセント、<デュラグルチド1.5mg>:1.40パーセント。【HbA1c7.0パーセント以下を達成した患者の割合】<セマグルチド0.5mg>:69パーセント、<デュラグルチド0.75mg>:52パーセント、<セマグルチド1.0mg>:79パーセント、<デュラグルチド1.5mg>:68パーセント。【5パーセント以上の体重減少を達成した患者の割合】<セマグルチド0.5mg>:44パーセント、<デュラグルチド0.75mg>:23パーセント、<セマグルチド1.0mg>:63パーセント、<デュラグルチド1.5mg>:30パーセント。

 

シミュレーションではセマグルチドが半数以上のシェア

Decision Resources Groupでは、独自のシミュレーションを行い、リラグルチドとデュラグルチド、セマグルチドの3製品のプロファイルに対する医師の好みをモデル化した。内分泌専門医(米国60人・欧州31人)によると、体重減少効果とHbA1c低下効果、そして心血管系に対するベネフィットが最も顕著な製品が専門医の支持を集めそうだ。そこから考えると、セマグルチドがデュラグルチドやリラグルチドよりも好まれるだろうという結果になった。

製品プロファイルに基づくGLP-1受容体作動薬の選好シェアシュミレーションの100パーセント棒グラフ。【アメリカ】セマグルチド:56.6パーセント、デュラグルチド:19.0パーセント、リラグルチド:24.4パーセント。【ヨーロッパ】セマグルチド:58.9パーセント、デュラグルチド:19.1パーセント、リラグルチド:22.0パーセント。

欧米の内分泌専門医が重要視する製品プロファイルのうち、飛び抜けていたのは1日あたりの価格だった。Decision Resources Groupのシナリオでは1日あたりの価格はどれも同じくらいで、つまり医師の選好には影響していない。

 

セマグルチドはデュラグルチドと投与間隔は同じだが、デュラグルチドは体重減少とHbA1c低下の作用で劣っており、心血管系のアウトカムデータはまだ出ていない。こうした状況は、セマグルチドにとって追い風だ。リラグルチドに対しては投与間隔で勝っており、ここからもセマグルチドの優位が示唆される。

 

さらにこのシミュレーションでは、セマグルチドが処方される可能性と、残るアンメットニーズを医師がどう評価するかも相関している。調査によれば、医師らがまず気にするのは、体重減少の程度を上げることだった。この点では、セマグルチドはリラグルチドと同程度だが、セマグルチドには週1回投与という強みがある。

 

デュラグルチドが今のシェアを維持するのは難しい

SUSTAIN-7試験の結果から、デュラグルチドが現在のシェアを維持するのは難しいとDecision Resources Groupは考えている。さらにデュラグルチドがセマグルチドと同等の心血管系に対するベネフィットを示したとしても、イーライリリーが価格設定・償還交渉と医師へのプロモーションで成功しない限り、医師や保険者からの評価を高めることはできない。

 

ただ、テバ・ファーマシューティカルズが米FDA(食品医薬品局)からリラグルチドの後発品の承認を取得すれば、様相は一変する。医師が好む安い値段でリラグルチドが入手できるようになると、デュラグルチドもセマグルチドもシェアはさほど伸びないだろう。

 

(原文公開日:2017年11月22日)

 

【AnswersNews編集長の目】

日本でも、2型糖尿病の治療でじわじわと使用が広がっているGLP-1受動態作動薬。国内では現在、4成分7品目が販売されています。

 

中でも販売好調なのが、記事中にも出てきた日本イーライリリーの「トルリシティ」(デュラグルチド)。販売を担当する大日本住友製薬の決算によると、15年度は7億円、68億円と売り上げを順調に伸ばしています。17年度は145億円の売り上げを予想。昨年11月の第2四半期決算発表時に、期初から計画を35億円上方修正しました。

 

一方、トルリシティと競合することになる「オゼンピック」(セマグルチド)は、ノボノルディスクファーマが現在申請中。昨年12月の厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で一度承認の可否が審議されましたが、重度の腎機能障害患者への使用に対する注意喚起について検討が必要となったため、判断が保留に。1月26日の同部会で改めて審議された結果、承認が了承されました。近く正式に承認され、早ければ5月に薬価収載される見通しです。

 

糖尿病領域では今年、MSDと日本ベーリンガーインゲルハイムがSGLT-2阻害薬とDPP-4阻害薬の配合剤を、三和化学研究所がDPP-4阻害薬とメトホルミンの配合剤を、それぞれ発売すると予想されます。ちなみにノボは、経口のGLP-1アナログを開発中で、国内で臨床第3相試験を行っています。

 

この記事はDecision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事で用いたシミュレーションは、Decision Resources Groupが発行している潜在医療ニーズ調査レポート(Unmet Need – Type 2 Diabetes)に掲載しています。レポートに関するお問い合わせはこちら

 

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