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【欧州心臓病学会】心房細動、今後の展望は?ESC2017の注目トピックスをおさらい|DRG海外レポート

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米国に本社を置くコンサルティング企業Decision Resources Groupのアナリストが、海外の新薬開発や医薬品市場の動向を解説する「DRG海外レポート」。今回は、8月26~30日にスペイン・バルセロナで開かれた欧州心臓病学会(ESC2017)から、心臓細動(AF)に関する注目トピックスをお届けします。

 

(この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。本記事の内容および解釈については英語の原文が優先します。正確な内容については原文を参照してください。原文はこちら

 

【RACE3試験】アップストリーム治療の優位性示す

「RACE3試験」の結果は、持続性AFおよび/または心不全の患者のリズムコントロールにおいて、危険因子に基づくアップストリーム治療が従来の治療法よりも優れていることを示した。

 

この試験は、心臓リハビリ、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、スタチン、ACE阻害薬/ARBによるアップストリーム治療を電気的除細動の3週間以上前に開始し、12カ月間続けるというもの。1年間の追跡調査では、アップストリーム治療群の75%で洞調律が認められたのに対し、対照群では63%にとどまった。

 

AFの病因や病態生理に対する理解は、まだ発展の初期段階だ。この試験の肯定的な結果は、アップストリーム治療がAFの管理で果たす役割を理解するのに役立つだろう。AFは進行性疾患であり、その進行は心房の線維化や拡大といった構造的リモデリングが主な原因である。アップストリーム治療は、心房リモデリングを修正し、AFの進行を抑制する可能性がある。

 

【EMANATE試験】アピキサバン 除細動前の投与に肯定的結果

「EMANATE試験」の結果によると、除細動を受ける予定のAF患者にアピキサバン(製品名・エリキュース)を投与した場合、標準療法であるワルファリンやヘパリンを投与するのに比べ、脳卒中が少なく、出血リスクも同程度にとどまった。

 

AMANATE試験は、除細動を予定している抗凝固療法未治療のAF患者1500人を対象に行われた。現在の標準療法であるヘパリンとワルファリンは、モニタリングが必要で、場合によっては用量の調整も必要となり、除細動の実施が遅れる可能性がある。

 

AMANATE試験の肯定的な結果は、除細動を予定するAF患者にとって、アピキサバンが従来の治療に代わる新たな選択肢としての地位を確立するのを後押しするだろう。現時点では、除細動前の抗凝固療法未治療の患者に対するアピキサバンの使用は承認されていない。

 

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【CASTLE-AF試験】カテーテルアブレーションで死亡率・入院率低下

「CASTLE-AF試験」の結果は、カテーテルアブレーション(心臓内部の原因部分をカテーテルで焼き切る治療法)が、左心室機能不全を伴うAF患者のアウトカムを改善することを示した。カテーテルアブレーションを受けた患者は、従来の薬物療法を受けている患者と比較して死亡率が低く、心不全の悪化による入院も減少した。

 

この試験には、症候性発作性AFまたは持続性AFをきたした、左室駆出率35%未満の患者397人を対象に実施した。この試験の結果は、AF患者で規則的な心拍リズムを回復し、維持することが重要だということを強調している。

 

CASTLE-AF試験は、心不全とAFを合併している患者を対象に、カテーテルアブレーションと薬物療法を比較した唯一の無作為化試験。この試験で示された総入院率の低下は、AF治療にとってコスト面で大きな意味を持つ。

 

【RE-DUAL PCI試験】ダビガトラン含む2剤療法が出血リスク低減

独ベーリンガーインゲルハイムは、ステント留置を伴うPCI(経皮的冠動脈形成術)を受けた患者を対象に、ダビガトラン(製品名・プラザキサ)を使った2剤療法(ダビガトラン+抗血小板薬1剤)と、現在の標準療法であるワルファリンを使った3剤療法(ワルファリン+抗血小板薬2剤)を比較する「RE-DUAL PCI試験」の結果を発表した。

 

この試験の安全性の主要評価項目は、大出血イベントまたは臨床的に重要な非大出血イベントがみられるまでの時間。結果によると、ワルファリンを用いた3剤療法に比べて、ダビガトランとP2Y12阻害薬の2剤併用療法の方が、出血リスクが低いことが明らかになった。

 

ベーリンガーインゲルハイムは、AF患者の管理では従来の治療法よりダビガトランの有効性が高いと強調しているが、RE-DUAL PCI試験の結果はこれを裏付けている。特許切れが迫り、ほかの新規経口抗凝固薬との競争が激化する中、RE-DUAL PCIやRE-CIRCUIT、RE-VERSE ADなど、最近行われた大規模試験の結果は、同剤の売り上げを押し上げる可能性がある。

 

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【AFFIRM試験の事後解析】AF患者の脳卒中予防 血圧管理の重要性示唆

AFFIRM試験のサブ解析結果は、AF患者の大出血イベントや脳卒中のリスクを低減する上で、血圧が重要な役割を果すことを示した。

 

この試験は、患者を収縮期血圧の平均標準偏差に基づいて4つの四分位値に分類。平均3.6年間追跡した結果、四分位値が上昇するにつれリスクの増大傾向がみられ、脳卒中149件、大出血イベント248件を記録した。

 

この試験から得られた知見は、AF患者のアウトカムを改善し、罹患率や死亡率を低減する上で、血圧コントロールが重要だということを示している。

 

【GARFIELD-AFレジストリ】リアルワールド・データから得られた知見

ESC2017では、前向きに登録した患者5万2000人の1年間のアウトカムに焦点をあてた「GARFIELD-AFレジストリ研究」から得られた洞察も発表された。

 

発表されたデータは、AFが欧州全体で社会に対して財政的・経済的に大きな負担を強いており、利用される公共医療サービスの種類は地域によって大きく異なっていることを浮き彫りにした。抗凝固薬の使用割合は71%まで上昇し、新規経口抗凝固薬の登場で処方は大幅に増加。最も頻繁な有害事象として死亡が挙げられた。

 

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結果によると、抗凝固薬の使用率は重度のAF患者では適切な水準に達していなかった。さらに、患者の3分の2以上は4カ月後には抗凝固薬による治療を受けていないことも報告された。

 

GARFIELD-AFレジストリ研究は、実臨床での抗血栓薬の処方と、診療ガイドラインとのギャップを突き止めるのに役立つ。ここから得られた知見は、AF関連の入院を減らし、臨床アウトカムを改善する治療戦略の立案を促し、結果として医療資源のさらなる効率的な使用につながる。

 

(原文公開日:2017年9月8日)

 

【AnswersNews編集長の目】

直接作用型の経口抗凝固薬(DOAC)の登場で様変わりした心房細動の治療。今年のESCでも多くの新たなエビデンスが発表されました。

 

個人的に注目したのは、「EMANATE試験」と「RE-DUAL PCI試験」。前者はブリストル・マイヤーズスクイブとファイザーの「エリキュース」、後者はベーリンガーインゲルハイムの「プラザキサ」に関するものですが、これらの試験で示された新たなエビデンスが両剤の売り上げにどう影響するのか、注目されます。

 

「プラザキサ」「リクシアナ」「イグザレルト」「エリキュース」と相次いで発売されたDOACは、市場での競争も激しくなっています。各社ともライフサイクルマネジメントの一環としてさまざまな臨床試験を行っており、今後も新たなエビデンスが出てくると期待されます。

 

この記事は、Decision Resources Groupのアナリストが執筆した英文記事を、AnswersNewsが日本語に翻訳したものです。Decision Resources Group はESC2017の結果も反映した主要7ヶ国の今後10年のAF市場予測レポート(Disease Landscape & Forecast : Atrial Fibrillation)を12月に発行予定です。レポートに関するお問い合わせはこちら

 

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