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後発医薬品 「付加価値」で差別化―東和薬品 錠剤への2色印刷を国内初採用

後発医薬品の市場拡大が減速する中、各メーカーが製剤やパッケージの「付加価値化」に力を入れています。東和薬品は2色使いで製品名や用量を印刷した錠剤を国内で初めて開発。12月発売予定の2製品に採用すると発表しました。

 

こうした取り組みは患者や医療従事者にとっては歓迎すべきことですが、後発品メーカーの研究開発費は増加。収益環境は厳しさを増しますが、激しいシェア争いの中、各社が差別化に腐心しています。

 

2色印刷「一包化増え識別性重要に」

東和薬品が2色印刷の錠剤を採用するのは、12月発売予定のARB「オルメサルタンOD錠『トーワ』」(先発医薬品・オルメテック)と、高脂血症治療薬「ロスバスタチンOD錠『トーワ』」(同・クレストール)の2製品。製品名は黒、用量を緑や青、赤で印刷し、視認性を高めました。

オルメサルタンOD錠、ロスバスタチンOD錠

東和薬品のプレスリリースより

 東和薬品は2013年12月から製品名を印刷した錠剤を導入しており、割線で割っても製品名が判読しやすい表示も取り入れてきました。新製品だけでなく、既存の製品でも対応を進め、製品名印刷を適用している製品は100品目を超えます。

 

同社が今回、2色印刷を開発した背景にあるのが、1回に服用する複数の薬を1つの袋にまとめて調剤する「一包化」。高齢化で多くの薬を服用する人が増えたこともあり、一包化を希望する患者が増えているといいます。より識別性を高めた製品名印刷を求める声を受け、医療従事者や介護従事者が薬剤を見分けやすいデザインと配色を採用しました。

 

「プラスα」に「プレミアム」

「プラスαのジェネリック」に「プレミアムジェネリック」。メーカーによって呼び方は違えど、高付加価値を前面に押し出す後発医薬品が増えています。市場規模の大きい先発医薬品ともなれば、20社、30社が一斉に参入する後発品業界。各社とも付加価値を通じた先発品・競合品との差別化に腐心しています。

 

1200億円を超える先発品の市場をめがけ、2015年6月に30社66品目の後発品が発売された抗血小板薬クロピドグレル(先発品・プラビックス)の場合、先発品にはない50mg錠(沢井製薬など)、脳梗塞の後遺症で手の不自由な患者でも取り出しやすい包装(テバ製薬)、錠剤を小型化(東和薬品)など、各社が工夫を凝らした製品を開発。日医工がオーソライズド・ジェネリックを投入する中、競合品との差別化を狙った製品が数多く発売されました。

 

後発品企業の研究開発費は増加

口腔内崩壊錠(OD錠)や錠剤の小型化、苦味のマスキングや味付けなどによる飲みやすさの改善、錠剤を取り出しやすくしたり、逆に誤飲を防ぐために子どもでは開けにくくしたりした包装、取り違えや飲み間違えを防ぐための表示など、高付加価値化の取り組みは多岐に及びます。

後発医薬品の付加価値化の主な取り組み(例)

ただし、こうした取り組みが薬価で評価されることはありません。新たに発売される後発品の薬価は現在、先発品の50%(収載希望が10品目を超える内用薬は40%)で一律。売上高の成長率が1桁台に落ち込み、需要増に伴う生産体制の拡充も求められる中、高付加価値化に取り組むほど収益は厳しくなります。

 

後発品大手3社の研究開発費は増加を続けており、いずれの企業もこの5年で2倍以上に膨らみました。沢井製薬は100億円を突破し、東和薬品は売上高に対する比率が11%まで上昇。薬価改定があったこともあり、16年度は日医工が33.7%、沢井製薬が11.0%、東和薬品が38.3%の営業減益となりました。収益環境は厳しさを増しますが、それでも後発品メーカーは、価格以外の要素で医療従事者や患者から選ばれるため、高付加価値製品の開発を続けています。

後発医薬品大手3社の研究開発費

 

価格帯の統一がネックに

一方、こうした取り組みに水を差しかねないのが、後発品の価格帯の統一です。

 

後発品の薬価も先発品と同様、市場実勢価格に基づいて銘柄別に定められるのが原則。しかし、後発品では2014年度の薬価制度改革で先発品の薬価の「30%未満」「30%以上50%未満」「50%以上」の3つの価格帯に集約されました。「同じ成分なのに価格が違うのはわかりにくい」などといった声を受けたものです。

14年度に実施された後発医薬品に価格帯の集約(例)

 

価格重視の傾向強まる?

ただ、市場実勢価格を医療現場からの評価と捉えれば、飲みやすさや識別性を高める工夫を施した製品とそうでない製品の実勢価が異なるのはある意味、当然のこと。後発品業界からは、価格帯の集約でこうした製品を同じ価格として扱ってしまえば、付加価値化の取り組みがしづらくなるといった指摘が以前から上がっていました。付加価値のある製品の薬価が下がる一方、安価な製品の薬価が上がることもあるからです。実際、価格帯の集約が行われた14年4月以降、市場も価格重視の傾向が強くなったとの声も聞かれます。

 

医療現場からはさらなる価格帯の統一も含めたさらなる集約を求める声が根強くあります。価格帯の集約は16年度の前回の薬価制度改革では見送られましたが、18年度の次期改革でも検討課題の1つに挙がっています。

 

後発品市場はこれから、付加価値や安定供給の努力で勝負する市場になるのか、それとも安売り競争が繰り広げられる市場になるのか。18年度の薬価制度改革は、その分かれ目になるかもしれません。

 

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