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医薬品市場

国内医薬品市場「薬価改定なし」でもマイナス成長の「異常事態」

クインタイルズIMSのまとめによると、2017年4~6月の国内医療用医薬品市場は、前年同期と比べて0.8%減少しました。薬価改定のない年としては異例のマイナス成長で、16年7~9月以降、4四半期連続で前年を割り込みました。

 

主な要因は、C型肝炎治療薬「ハーボニー」など高薬価の大型製品の大幅な売り上げ減。その影響を除けば、市場は1%程度成長していた計算ですが、それでも薬価改定のなかった過去の年には及びません。国内市場の停滞は一段と鮮明になっています。

 

「改定なしでマイナス成長」11年度以降では初

クインタイルズIMSの医薬品市場統計によると、2017年4~6月の国内医療用医薬品市場は2兆6120億円で、前年同期比0.8%減となりました。国内市場は16年7~9月から四半期ベースで前年割れが続いていますが、薬価改定のない年度に入ったにもかかわらず、プラスを回復するには至りませんでした。

 

過去、薬価改定のなかった年の同じ時期の市場成長率は、15年4~6月が7.9%増、13年4~6月が3.7%増、11年4~6月が5.3%増でした。薬価改定のない年で四半期ベースの成長率がマイナスとなるのは、少なくとも11年度以降では今回が初めて。まさに異常事態です。

国内医療用医薬品市場の四半期成長率

 

ハーボニーが76%減 影響除けば市場は1.2%増

薬価改定のない年としては異例のマイナス成長となったのは、高薬価の大型製品が売り上げを落としたからです。

 

クインタイルズIMSの市場統計によると、前年同期トップだったC型肝炎治療薬「ハーボニー」(ギリアド・サイエンシズ)は売り上げのピークを過ぎ、17年4~6月は前年同期比75.6%減の170億2500万円と激減。今年2月に緊急的に薬価が50%引き下げられた免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」(小野薬品工業)は、競合品の登場もあって14.7%減の225億5600万円に落ち込みました。

17年4月~6月 医療用医薬品 国内売上高トップ10

ハーボニーは、額にすると527億7100万円も売り上げを落としており、これは市場全体の減少額225億3400万円を上回ります。ハーボニーの売り上げ減の影響を除けば、市場全体は1.2%伸びていた計算で、オプジーボの影響も除くと1.3%増加していたことになります。

 

ただ、それでも過去、薬価改定のなかった年の市場成長率には及びません。やはり、後発医薬品の浸透と長期収載品の販売減少が市場に大きな影響を与えています。

 

国内事業 小野やアステラス、塩野義が減収に

3月期決算の主な企業の17年4~6月期の国内医療用医薬品の売上高を表にまとめました。

主な製薬企業の17年4月~6月期の国内医療用医薬品売上高

売り上げを減らしたのは、オプジーボが決算ベースで21.4%減(198億円)となった小野薬品工業(9.9%減)や、一部の長期収載品をLTLファーマに売却したアステラス製薬(7.5%減)、既存製品の販売減が響いた塩野義製薬(6.6%減)など。キョーリン製薬ホールディングスも、後発品が参入した喘息・アレルギー疾患治療薬「キプレス」の売り上げが半減しました。

 

増収は武田、参天、第一三共など

一方、売上増となったのは、武田薬品工業(10.0%増)や参天製薬(5.5%増)、第一三共(5.4%増)など。武田は前期減収の主因となった長期収載品の移管の影響が一巡した上、酸関連疾患治療薬「タケキャブ」が倍増。参天製薬は緑内障治療薬「タプコム」や加齢黄斑変性治療薬「アイリーア」が伸び、第一三共もPPI「ネキシウム」などの新薬群が好調でした。

 

関節リウマチ治療薬「シンポニー」やDPP-4阻害薬「テネリア」が伸びた田辺三菱製薬や、GLP-1受容体作動薬「トルリシティ」が急成長した大日本住友製薬も増収となりましたが、薬価改定のない年としては弱め。長期収載品の売り上げ減少が影を落としました。

 

製品や事業の譲渡が影響する武田薬品工業とアステラス製薬、ARBオルメテックの特許切れが響く第一三共を除けば、各社とも連結売上高全体としては通期で増収を見込んでいます。ロイヤリティー収入を含む海外事業が好調なためで、国内市場の停滞を海外事業で補う構図はより一層、鮮明になっています。

 

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