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大日本住友製薬

大日本住友製薬は、大日本製薬と住友製薬が2005年に合併して設立した製薬企業です。大阪市に本社を置き、16年度の売上高は国内8位。「精神神経領域」と「がん領域」を重点領域に定めており、北米で発売されている統合失調症治療薬「ラツーダ」が業績を支えています。

AnswersNews編集部による

大日本住友製薬の企業分析

迫る「ラツーダクリフ」国内事業の立て直し急務

2017/12/13 AnswersNews編集部 前田雄樹・山岡結央

2016年度過去最高益を記録した大日本住友製薬ですが、業績を支える抗精神病薬「ラツーダ」が2019年に特許切れを迎えます。早期退職を行うなど経営のスリム化を進める中、低迷する国内事業の立て直しが大きな課題となっています。

16年度最高益も… 好業績の裏に潜む危機

大日本住友製薬の2016年度の売上高は4116億円で前年度比2.1%増、営業利益は528億円で42.9%増と過去最高益を更新しました。

主な業績指標の推移の表。売上高:2015年度4032億円、2017年度予想は4740億円と前年度比15.1パーセント増の見込み。営業利益:2015年度369億円、2017年度予想は720億円と前年度比36.5パーセント増の見込み。ラツーダ売上高:2015年度1204億円、2016年度は前年度比12.9パーセント増。2017年度は前年度比31.0パーセント増の見込み。

好業績を牽引したのは、北米で販売されている統合失調症治療薬「ラツーダ」です。11年に北米で発売以来堅調に売り上げを伸ばし、ブロックバスターに成長。16年度は1359億円を売り上げました。17年度も勢いは衰えず、売上高は1780億円となる見通し。為替が円安に振れた影響もあり、大幅な売り上げ増を見込みます。

一見すると業績好調の大日本住友ですが、このラツーダこそが同社にとって直近の最大の課題。19年に米国で特許切れを迎えるからです。連結売上高の4割近くを稼ぐ製品だけに、収益の悪化は避けられません。

早期退職、工場再編でスリム化

「ラツーダクリフ」を控え、大日本住友は経営のスリム化を急いでいます。

16年には、合併の翌年以来10年ぶりに早期退職を実施(295人が応募)。17年9月にも、生産拠点の再編に伴って生産部門の従業員を対象に早期退職の募集を始めました。同社は18年度、大阪・茨木工場を三重・鈴鹿工場に統合し、愛媛工場を閉鎖。生産拠点を4から2に絞ります。

大日本住友製薬の資産の推移表。総資産:2012年度6072億円、2013年度6590億円、2014年度7116億円、2015年度7077億円、2016年度7940億円。有形固定資産:2012年度699億円(11.5パーセント)、2013年度727億円(11.0パーセント)、2014年度652億円(9.2パーセント)、2015年度618億円(8.7パーセント)、2016年度593億円(7.5パーセント)。従業員数(単体):2012年度4457人、2013年度4331人、2014年度4126人、2015年度4000人、2016年度3572人。

14年度には、関西の自社ビルや寮などの遊休資産も売却しました。同社の総資産に占める有形固定資産の割合は、12~16年度の5年間で4.0ポイント減少。この間、単体の従業員数も1000人近く、率にして2割減少しています。

低迷する国内事業

課題は「ラツーダクリフ」だけではありません。国内医薬品事業も低迷が続いています。

国内医薬品事業は08年度の1850億円をピークに、8年連続で減少し続けており、16年度は1408億円まで落ち込みました。

売上高の推移と内訳の棒グラフ。国内医薬品と北米医薬品、その他で分けています。2010年度の売上高は3795億円、その内48.2パーセントを占めるのが国内医薬品で1829億円、31.0パーセントが北米医薬品で1176億円。2011年度の売上高は3504億円、その内国内医薬品が1799億円、北米医薬品1084億円。2012年度の売上高が3477億円で、その内国内医薬品が1745億円、北米医薬品1158億円。2013年度の売上高は3877億円、そのうち国内医薬品が1719億円、北米医薬品1453億円。2014年度の売上高は3714億円、うち国内医薬品が1566億円、北米医薬品1482億円。2015年度の売上高は4032億円、うち国内医薬品が1465億円、北米医薬品1849億円。2016年度の売上高は4116億円、そのうち国内医薬品が34.2パーセント、北米医薬品が48.1パーセントの1979億円。

不振の要因は、長期収載品の売り上げ減少です。かつて主力品だったCa拮抗薬「アムロジン」や消化管運動機能改善薬「ガスモチン」などが、後発医薬品の普及と長期収載品の薬価引き下げで軒並み大きく売り上げを落としました。

現在、戦略品と位置付ける高血圧治療薬「アイミクス」、統合失調症治療薬「ロナセン」、パーキンソン病治療薬「トレリーフ」の3製品は、16年度に計450億円(前年度比10.8%増)を売り上げましたが、国内事業の減収に歯止めはかかりません。

期待する新製品 開発に遅れ

本来なら、新薬を発売して長期収載品の減収を補うべきところですが、大日本住友はそれができていません。将来を担うと期待されていた新薬は、発売が遅れています。

12年に米ボストン・バイオメディカルを買収して獲得した抗がん剤ナパブカシンは、17年6月に胃がんを対象に進めていた臨床第3相(P3)試験に失敗。大腸がんと膵がんを対象とした試験に集中する方針に変更しました。同剤はがん幹細胞をターゲットとする抗がん剤として同社が大型化を期待する新薬候補ですが、開発は大きく遅れており発売時期は買収当初に想定していた15年度以降から20~22年度にずれこみました。

北米で順調に売り上げを伸ばすラツーダも、日本ではまだ発売に至っていません。当然、国内開発を進めていましたが、統合失調症を対象に行った試験で良好な結果を得られませんでした。今も統合失調症、双極I型うつ、双極性障害メンテナンスの適応でP3試験が続いており、申請は当初予定していた17年度から19年度に先送りされています。

主な後発開発品の申請目標の表(2017年10月時点)。アポモルヒネ(パーキンソン病)はアメリカで2017年度の申請が目標。desotraline(過食性障害)はアメリカで2018年度の申請が目標。ブロナンセリン(統合失調症(貼付剤))は日本で2018年度の申請が目標。ルラシドン(統合失調症・双極I型障害うつ・双極性障害メンテンナンス)は日本で2019年度の申請が目標ですが遅れています。

「即戦力」獲得に注力

こうした中、大日本住友は、向こう数年で収益に貢献する「即戦力」の製品の獲得に力を入れています。

16年10月にカナダのシナプサス社を買収して獲得した、舌下フィルム剤のアポモルヒネ(APL-130277)は、パーキンソン病を対象に米国で臨床第3相(P3)試験を実施中。17年1月には、米トレロ社を買収し、白血病治療薬alvocidibを獲得しました。同剤は米国とカナダでP2試験を実施中で、18年度の申請が目標。大日本住友はピーク時に500億円の売り上げを期待しています。

16年12月には、スイス・ノバルティス社から導入した慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬3製品(「ウチブロン」「シーブリ」「アルカプタ」)を導入し、17年4月にウチブロン、同10月にはシーブリを発売しました。米国子会社サノビオンが自社開発したCOPD治療薬「SUN-101」は米国で17年12月に承認されており、18年始めに発売する予定です。

「(国内が北米を下回っている)傾向を変えていきたい」。同社の多田正世社長は17年5月の決算説明会で、収益基盤の強化に向けて国内事業のテコ入れを図る考えを改めて示しました。日本イーライリリーと販売提携を結ぶGLP-1受容体作動薬「トルリシティ」は、17年度に100億円を突破する見通しで、国内でも今後、このような外部資源を獲得していく方針です。

ラツーダクリフを乗り越えるためには、国内事業の低迷脱出が欠かせません。

大日本住友製薬の主要情報

主要製品

大日本住友製薬の主要製品一覧リスト。製品別の2016年度売上高、前年比をまとめています。北米:ラツーダ(統合失調症治療薬)1359億円、前年比12.9パーセント。アプティオム(抗てんかん薬)116億円、前年比51.3パーセント。ブロバナ(長時間作用型β作動薬)331億円、前年比10.6パーセント。シクレソニド(喘息治療薬)51億円、前年比マイナス27パーセント。ゾペネックス(短時間作用型β作動薬)51億円、前年比マイナス23.5パーセント。ルネスタ(睡眠鎮静薬)マイナス5億円。中国:メロペン(抗生物質製剤)154億円、前年比マイナス1.4パーセント。海外その他:メロペン(輸出)68億円、前年比6.6パーセント。国内:アイミクス(高血圧症治療薬)171億円、前年比14.5パーセント。ロナセン(統合失調症治療薬)128億円、前年比1.6パーセント。トレリーフ(パーキンソン病治療薬)151億円、15.3パーセント。リプレガル(ファブリー病治療薬)107億円、前年比4.7パーセント。アムビゾーム(深在性真菌症治療薬)44億円、前年比0.8パーセント。アバプロ(高血圧症治療薬)103億円、前年比マイナス4.6パーセント。シュアポスト(速攻型インスリン分泌促進薬)43億円、前年比21.8パーセント。メトグルコ(経口血糖降下薬)112億円、前年比マイナス23.9パーセント。アムロジン(高血圧症・狭心症治療薬)130億円、マイナス20.8パーセント。プロレナール(末梢循環改善薬)65億円、前年比マイナス24.9パーセント。ガスモチン(消化管運動機能改善薬)60億円、前年比マイナス28.2パーセント。メロペン(抗生物質製薬)43億円、前年比マイナス31.4パーセント。トルリシティ(GLP-1受容体作動薬)68億円、前年比812.3パーセント。

パイプライン

大日本住友製薬のパイプライン一覧リスト。フェーズ2以降、2017年10月時点のものです。精神疾患:EPI-589がパーキンソン病、ALSそれぞれアメリカでフェーズ2。SEP-363856が統合失調症、パーキンソン病の精神病症状それぞれアメリカにてフェーズ2です。ルラシドンが統合失調症、双極I型障害うつ、双極性障害メンテナンスそれぞれ日本でフェーズ3。ブロナンセリンが統合失調症(小児)、統合失調症(経皮吸収型製剤)それぞれ日本でフェーズ3。バチキノン(リー脳症)が日本で、dasotraline(過食性障害)がアメリカで、アポモルヒネ(パーキンソン病のオフ症状)がアメリカでそれぞれフェーズ3です。eslicarbazepineacetateがてんかん、てんかん(小児・併用)それぞれカナダで申請中。ルラシドン(統合失調症)が中国で、ルラシドン(双極I型障害うつ(小児))がアメリカ・カナダで、dasotraline(成人・小児ADHD)がアメリカで、ゾニサミド(レビー小体型認知症のパーキンソニズム)が日本でそれぞれ申請中です。がん:ナパブカシンが結腸直腸がん(併用)、固形がん、悪性胸膜中皮腫(併用)、膠芽腫(併用)、消化器がん(併用)それぞれアメリカ・カナダでフェーズ2。ナパブカシンは肝細胞がん(併用)、固形がん(併用)ではアメリカでフェーズ2です。amcasertibが固形がん(併用)、固形がんそれぞれアメリカ・カナダでフェーズ2。amcasertibは肝細胞がん・胆管がん、消化管間質腫瘍それぞれカナダで、卵巣がん、肝細胞がん(併用)それぞれアメリカでフェーズ2です。adegramotide/nelatimotideが骨髄異形成症候群、小児悪性神経膠腫それぞれ日本でフェーズ2。adegramotide/nelatimotideは膠芽腫(併用)が日米・カナダでもフェーズ2です。alvocidib(急性骨髄性白血病・併用)がアメリカ・カナダでフェーズ2です。ナパブカシンは結腸直腸がん(併用)が日米・カナダで、膵がん(併用)が米日でフェーズ3です。呼吸器:グリコピロニウム(COPD)がアメリカで申請中です。その他:オベチコール酸(非アルコール性脂肪肝炎)が日本でフェーズ2。DSP-6952(便秘型IBS、慢性便秘)が日本でフェーズ2です。

年収

大日本住友製薬の平均年収の推移棒グラフ。2012年度831.8万円、2013年度834.4万円、2014年度856.7万円、2015年度840.3万円、2016年度852.6万円。

大日本住友製薬の年度別平均年収表。平均年収とあわせて平均年齢、平均勤続年数、従業員数をまとめています。平均年収(単体):2012年度831.8万円、2013年度834.4万円、2014年度856.7万円、2015年度840.3万円、2016年度852.6万円。平均年齢(単体):2012年度41.2歳、2013年度41.4歳、2014年度41.7歳、2015年度42.1歳、2016年度41.7歳。平均勤続年数(単体):2012年度16.5年、2013年度16.6年、2014年度16.9年、2015年度17.3年、2016年度16.9年。従業員数(単体):2012年度4457人、2013年度4331人、2014年度4126人、2015年度4000人、2016年度3572人。従業員数(連結):2012年度7218人、2013年度7015人、2014年度6868人、2015年度6697人、2016年度6492人。

大日本住友製薬の基本情報

2017年12月更新

社名 大日本住友製薬株式会社(Sumitomo Dainippon Pharma Co.,Ltd.)
本社所在地 【大阪本社】大阪府大阪市中央区道修町2-6-8
【東京本社】東京都中央区京橋1-13-1
設立 1897年5月14日
資本金 224億円
上場 東証1部
代表者名 多田正世(代表取締役社長)
主な事業所所在地 【支店】札幌市、仙台市、東京都中央区、千葉市、さいたま市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、高松市、福岡市
【工場】三重県鈴鹿市、大阪府茨木市、愛媛県新居浜市、大分市
【研究所】大阪府吹田市、大阪市、神戸市
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